天上天下唯我独尊

2010年05月11日(火) 謎のモッツァル

主人とスーパー・マーケットに、買い物に出掛けた。
服なら兎も角、食品売り場でウィンドウ・ショッピングはしない私。
それに対して彼は、あれこれ見て回るのが大好きで、デパ地下なども滞在時間が永いため、一緒にいると私は疲れてしまう。
今日も私は目当ての物を買ったらさっさと帰るつもりだったのだが、主人が魚を買った後も肉売り場を見て、お惣菜コーナーでも足を止めていた。
「これ美味しそう」
と主人がお惣菜を差して言うので、私は心の中でやれやれと溜息を吐いた。
「今日はもう買ったでしょ。そんなに色々と見ていたら目移りするし、次々買っていたら食べ切れないでしょ」
「食べ切れるもん、大丈夫だよ」
と口を尖らせる主人。子供か。
勿論却下である。
「そんな事言ってるから、いつまで経っても痩せないのよ!」
そう言い捨てて私がさっさと歩き出すと、シオン、自分が思うように痩せないからって、人に当たっちゃ駄目だぞう〜などと言いながら主人が付いて来る。ムカつく……!
「ほら、馬鹿な事言っていないで、豆乳とヨーグルト買って帰るよ」
と乳製品売り場に行くと、売り子さんが試食を配っていた。
「美味しいチーズですよ、どうぞ〜」
主人が取ってくれたので、私も食べてみた。
「まあまあ美味しいね。モッツァレラか」
と御馳走様をしてその場を離れると、売り子のおばちゃんが次のお客に試食品を手渡しながら言っているのが聞こえた。
「美味しいモッツァル…チーズですよ〜」

モッツァル・チーズ?

思わず振り向いてしまった。
主人の袖を引っ張る。
「今の、聞いた?」
「うん……」
その後もおばちゃんは、1度も正確な商品名を言う事が無かった。
「違う! モッツァルじゃなくてモッツァレラ!」
と少し離れた場所で突っ込みを入れる主人に、そんなに気になるならおばちゃんに言って来なよ……と勧めたのだが、それは嫌だと言う。
「どうして自分の目の前にある商品名を、ちゃんと読まないんだろう」
「うーん、多分片仮名が苦手なんだよ……だって、モッツァル・チーズと言い切らずに、モッツァルと言った後にゴニョゴニョとなんか言い淀んでいたもの」
と会話を交わしている間も、おばちゃんはずっと「美味しいモッツァル…チーズですよ、どうぞ〜」と言っていた。
嗚呼、気になる……。
そう呟いたら、シオンが言って来りゃいいじゃんと主人に言われた。
でも私も嫌よ。
人が少ない時間帯なら兎も角、引っ切り無しに客が試食しているその場で指摘する勇気は、流石に無いかなー。


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