取り敢えず生活出来るぐらいには家の中が片付いたので、東を目指して、主人とドライブに出掛けた。 とは言え、野と山の他には何も無いのだけれど。 でも私は行ってみたかったのだ。もしかしたら主人が飛ばされていたかも知れない土地に。 1時間ほどで行き着いたそこは、現住所より更に田舎であった。 地上デジタル放送や、フレッツ光も来てなさそう。 これは……、もしここに転勤になっていたら、物件探しが更に大変だったろうなと思った。 半端な田舎の現住所でさえ探すの大変だったのに、昭和の匂いの残るこの土地だったら……と考えると、やはり今の転勤先で良かったのだろう。 主人は子供の頃、ここに住んでいた事があるらしい。 「どう、覚えている?」 と訊いてみると、 「なんとなく。所々だけれどね」 と彼は言った。 特に、懐かしいという感情も無いらしい。
帰りは別ルートで、道の駅に寄ってみた。 主人が好きなのだ、道の駅……私はどちらかと言うと、何処にも寄らずにとっとと目的地に着きたいタイプ。 でも特に急ぎでもない時は、主人と一緒に、あれこれ見て回るのも悪くない。 地元の工芸品コーナーを見ていたら、手芸品に混じって、見た顔が……。 白い兎の編みぐるみ、黒いお目目に、ばってんのお口。 えーと、これって、みっひーでは……。 「知的所有権的にどうなのー?」 と主人の袖を引っ張ったら、 「まあ、いいんじゃないの、田舎なんだし」 えー? 良くないと思う……。 これじゃあ、中国の事を笑えないよ。
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