天上天下唯我独尊

2010年01月15日(金) 音の色

昨年末に、youtubeでラフマニノフの前奏曲を聴き比べていたら、主人が、
「キーシンもアシュケナージも、ピアノの音しかしないけれど、プロコフィエフのピアノには、色彩感がある。」
と評していた。
一方私は、テンポや強弱のつけ方の違いぐらいしか判らず、どれもピアノの演奏なのだから、ピアノの音しかしないのは当たり前なのでは?と不思議に思った。
しかしその後、アニメ版のだめカンタービレを見ていたら、
「なんて色彩感豊かなピアノ!」
という台詞があり、そうそうそれなんだよねー弾く人によって違うんだよ、と得心する主人に対し、やはりわからない私なのであった。
そんな私の弾くピアノは、やはり白黒なんだろうな。

今日は偶々予告で、「スーパーピアノレッスン」で展覧会の絵をやると知ったので、録画して主人と一緒に見た。
先生は、フセイン・セルメットというピアニスト。ど素人の私は、初めて聞いた名前だ。
生徒は金髪で顎の無い若者。名前は忘れた。
なんかのコンクールで優勝したほどの腕前だそうだが、ミスタッチが多くてとても雑に聞こえる。
えっ何故そこでテンポを崩す?と思ったら、やはり先生にも指摘されているし。
それなりに上手いんだろうけれど、先生のピアノを聴いてしまうと、まだまだ若造である。
そして主人が言うには、
「この先生、凄い。これだよ、色彩感のあるピアノ!」
との事。彼にしては珍しく絶賛だ。
番組の中で、先生が、
「この音はこう。猫のように」
と言って、猫が引っかくように素早いタッチで弾いていた。
若造の音と、全然違う。
「打楽器と同じで、マレットを打つ強さだけじゃなくて、速さで音が変わるんだよ」
と主人が解説を入れてくれた。

そういう事か!
記憶が甦った。
部活で先輩が叩いていたティンパニ、何であんなにぼよ〜んとした音しか出せないんだろう、そこはもっと硬くて鋭い音が欲しいのに。
猫。
猫のように。
昔ピアノを習っていた時に、言葉は違うが同じ弾き方で見本を見せられた。
そういう事だったのか、と今やっと理解出来た。
先生はそういう事を私に教えたかったのねー! 気付くの遅いよ私。
ヘレン・ケラーが「ウォーター!」と叫んだ時の気持ちって、こんなだったのだろうなと思った。

番組終わりのセルメット先生の演奏は、圧巻だった。
ただ、室内が熱過ぎたようで、先生汗だく。トルコには冷房も無いのか!
汗を吸った先生のシャツの色が、完全に変わってしまっていた。
おまけに汗で眼鏡がずり落ちるので、先生しょっちゅう眼鏡の位置を直しながら弾いている。
もっと集中出来る環境で弾いて欲しかったと、それだけが残念で、先生が気の毒であった。
だって、30分もかかるんだよ、全曲演奏……。


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