2007年06月05日(火) |
「神様、もう少しだけ」 |
昼間のテレビで、ドラマの再放送をやっている。 深田恭子の出世作、「神様、もう少しだけ」というのを観た。 本放送は10年ぐらい前だったと記憶している。 私は当時仕事で忙しく、評判のドラマを悉く見逃していた。録画して後で観ようと言うほどの熱意も無かったし。 職場のおじさま(と言っても比較的若い方だったが)によると、奥さんが感動して毎週泣いていると言う話だった。 それで10年経った今、何度目かの再放送を初めて観てみた。
えーと、それで、どこが感動ポイントなのかな?
私に言わせればこれは、女子高生が援助交際という名の売春をし、エイズに罹ったのを知らずに恋人との間に子供が出来、HIV感染が発覚したのに子供を産みたいしかも結婚もしたいと言い、結局自分の我が儘を貫いて死ぬという、非常に傍迷惑な物語である。 幸い恋人には感染しておらず、子供にも感染しなかったが、子供を取り上げた医療関係者は甚だ大変だったろうなと同情してしまう。ドラマなんだけれどさ。 兎に角、観ていて非常に苛々しムカムカした。 ドラマの製作者は多分、援助交際ダメ!&エイズ差別ダメ!というのを意図してこの話を作ったのだろうが、生温い。 自分が馬鹿でエイズに罹ったんだから、こういう話にはそれなりの末路を用意しないと! 馬鹿女子高生がエイズ罹患→事実を知った恋人に棄てられる→家族に見放される→野垂れ死に ぐらいでいいよ。 勿論、カリニ肺炎とカポジ肉腫は欠かせない。ドラマでは綺麗な死に顔だったが、全身痘痕だらけぐらいにしないと、本当の恐ろしさが視聴者には伝わらない。 麻薬の害を中高生に教えるために、生還者の講演を聴かせる事があるが、これが良くないのと同じである。 生還した人がいるなら大丈夫だね、と思ってしまうのだ。いつでも引き返せると思うと、人は深みに嵌まる。 ではどうしたら良いかと言うと、答えは簡単。 中毒者の悲惨な末路のVTRを見せれば良いのだ。 これと同じように、本当に視聴者にHIVの悲惨さを訴えたいなら、「稀に助かる事例」より「最悪のパターン」を見せ付けた方が絶対に効果があるだろう。
厚生省のエイズ対策は誤りだったと、私はずっと前から思っている。これは変わらない。 下手に差別を恐れて「HIVはちょっとやそっとの事じゃ感染りませんよ〜」と言ったせいで、感染者は減るどころか、増え続けている。 感染力が低いなら、何故こんなに感染者が増えるのか。普通に考えれば判るだろう。 キスでは感染しないと言うが、感染の確率は全くゼロではない。 下手すりゃ感染るし、罹れば死ぬ、ともっと脅しをかければよかったのだ。既に罹患した者の人権と、まだ感染していない人間の健康・生命と、どちらが大事か。 私は後者だと思うぞ。
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