何故だ。 何故、私の引っ越しでもないのに、私があれこれやらねばならんのだ。
愚妹の引っ越しである。 しかし妹の部屋を見渡すと、引っ越し必需品の段ボールが無い。 「あれ? 引っ越し屋さんから段ボール貰っていないの?」 と訊くと、 「荷作りやって貰うコースにしたからいいの〜」 との返事。 じゃあ何故私を呼んだのだ。 卒業式も謝恩会も終わったから、私はもう帰るぞ!と言うと、 「え〜、引っ越し先でも色々と不安だから、お姉ちゃん一緒にいてよ〜」 と泣き付く。 今回だけは手伝ってやる。 借りは初任給で返せよ!
引越し屋さんから貰った冊子を見ながら、 「各種手続きは済んだの? 水道、ガス、電気、電話、郵便」 と妹に訊くと、 「水道とガスと電気は大丈夫。郵便って?」 と首を傾げる。 お前、4年前にも引っ越ししてるだろー! 仕方が無いので、郵便局まで連れて行き、住所変更葉書に記入させた。 「電話は、まだお姉ちゃんの名義だから、どうしようかなと思って」 そうか。妹の固定電話は、私が学生時代に使っていたもので、名義変更をせずにそのまま妹に使わせていたのだった。 「んでね、引っ越したらフレッツって言うの? 光回線にしたいなと思うんだけれど」 NTTに確認すると、名義変更やら加入権譲渡はすぐには出来ないとの事。 仕方ないのでこれは後日やるとして、全てがこんな感じで妹から丸投げされるのである。
手続きの合間に家への土産などを買い、引っ越し前夜にはガスを止められてしまったので、2人で温泉に行く。 しかし遠くて湯冷めしそう。 もっと近場に温泉施設は無いの?と妹に訊いたが、 「わかんな〜い。でもここが1番新しくて綺麗みたいだよ!」 ……そうだね、ラーメンの件で懲りずに、またお前に任せたお姉ちゃんの失敗だよ。 引っ越し準備でネットに繋げないのが残念だ。 ネット環境下にあれば、自力で調べられるんだがなあ。 遠いのは不便だが、確かに綺麗でいい施設だった。 しかし、愕然とした。 私のお肌がボロボロ……。 ここ数日の激務(?)で、この3年ほど鳴りを潜めていたアトピーが悪化! 謝恩会でこんなにならなくて良かった〜とは思うものの、やはり恨めしい。 もう気疲れする仕事なんて御免だ。
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