天上天下唯我独尊

2007年01月25日(木) 牡蠣食えば腹が鳴るなり法隆寺

大流行のノロウィルスのお蔭で、牡蠣の人気が下火らしい。
この時期なんて、1番美味しいと言われているのに、勿体無い。

私は生牡蠣が好きだ。
しかし牡蠣フライは、余り好きではない。
そもそもフライというものが、そんなに好きではないのだ。
子供の頃、母がよく牡蠣フライを作ってくれたが、1つ2つで充分で、それ以上食べると気持ち悪くなったものだ。
あの油とソースが、牡蠣には合わないのだ、きっと。
生牡蠣を食べたのは、大人になってからだったような気がする。
(この記憶が正確なら、母が私に生牡蠣を食べさせなかったのは、食中毒を心配しての事だと思われる)
勤務先のおじさま達に、飲みに連れて行って貰い、生牡蠣を食した時、牡蠣とはこんなに美味しい物だったのかと、目から鱗が落ちた。
牡蠣に合うのはソースではなく、檸檬の絞り汁だったのである。

風評被害とは言われていても、知り合いの高校が修学旅行先でノロにやられた、しかも牡蠣が原因と聞くと、やはり今年は牡蠣はやめておこうという気になるものだ。
しかし、私の食欲はいつも突然。
「牡蠣食べたい」
ぼそりと呟いていた。
こうなると、もう止まらぬ。
「食いてえ牡蠣。生牡蠣食べに行こうよ!」
ダーリンの肩を揺さぶると、
「わかった、じゃあ明日の夜行こうか」
と言ってくれた。ワーイ!

翌日、早目に帰宅してくれたダーリンと一緒に、外食に出掛けた。
我が家の食べ物担当は彼なので、予め当たりを付けておいてくれたのかと思いきや、同じ道を何度もぐるぐる。
「あれえ、この辺だったと思うんだけれど、お店無くなったかなあ」
氷点下の中をあちこち連れ回され、寒さと空腹で、私は御機嫌斜めどころか真横。或いは垂直。
これ以上歩くのはもう嫌!!と、その近辺で1度は行きたいと思っていたお店に飛び込んだ。
まあ美味しかったからいいんだけれど、生牡蠣……そのお店では、今年はノロが怖くて扱っていないんだそうで。
ノロの呪いか……今年は多くの店でそうなんだろうなあ。

諦めきれない私は、翌日、スーパーの鮮魚コーナーで牡蠣を買って来た。
パック入りの牡蠣を見たダーリンに
「あれ? 殻付き買わなかったの?」
と言われたが、それしか置いてなかったんだもん。
「一応『生食用』って書いてあったし、大丈夫かなと思って。駄目だった?」
と訊くと、まあいいだろうとの返事。
小ぶりだったし、パック入りだったけれど、案外美味しかった♪
檸檬汁もいいけれど、柚子ぽんもいける。
欲求が満たされて満足した私だったが、4時間後、急激な腹痛に襲われた。
1度トイレから出ても、またすぐトイレに籠もるという30分間の、実に辛かったこと。
便座から離れるのが怖くなるぐらい。
まさか、夕食の牡蠣が原因では……!?
というか、私の中ではほぼ確信に近かった。他に思い当たる節が無いのだから。
「ノロウィルス検査済み」と書いてあったから買ったのに、実は呪牡蠣だったのか?
私だけなら良いが、ダーリンまで下したらどうしよう。
彼に辛い思いをさせるのも嫌だが、1つしかないトイレを2人で取り合う状況は、どう考えても悲惨だ。
彼の跫に怯えながら腹痛に耐えた私は、小康状態になったのを見計らってトイレから出て、慌てて整腸剤を飲んだ。
薬のお蔭ですぐに治まったが、貴方は大丈夫?とダーリンに訊くと、彼は全く何とも無いというので、ほっとした。
しょっちゅう体調不良を訴える彼だが、案外お腹は丈夫なのか。
脂肪でコーティングされているからなのか……?


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