天上天下唯我独尊

2006年09月27日(水) 冬瓜アレルギー

昨日は泣きそうな目に遭った。
というか、半べそかいた。

先日、主人の親がと一緒に冬瓜を届けてくれたのだが、漏れなくこれも暫く放置されていた。
しかし、食材を放置すると碌でもない事になると学習した私は、これも早く食べてしまわないと!と思い、主人に料理して貰う事にした。
だって私の実家では食卓に上らなかった食材だし、料理法がよくわからないのだ。
それに主人の実家からの物なのだから、彼が何とかするのが筋であろう。
という訳で、仕事から帰って来て疲れている亭主を容赦無く台所に立たせる鬼嫁が、暢気にゲームなどをしていると、
「駄目だ、これ、虫食ってるわ」
という声がした。
私は口を尖らせた。
「ええ〜、今日がごみの日だったのにぃ。次まで日があるから、何とかならない?」
「じゃあ虫がいない所だけ選んで何とかするよ」
との言葉を信じて、私は食事が出来るのを待った。

出来上がった冬瓜の炒め物は、なかなか美味しかった。
食後の片付けに台所に立った私は、流し台の俎板を見て固まった。
そこには、伸び縮みする謎の白い米粒のような物体が!
「来て! お願い! 今すぐ!」
飛んで来た主人は、あらあらとか言いながら、それを指で抓んでコーナーにポイッと捨てた。
「手、洗って!!」
「ハイハイ」
うう、虫ってこれの事だったのね……。
眩暈を起こしながらも私は薬缶にお湯を沸かし、虫が2度と這い上がって来れないよう呪いを込めて、コーナーに熱湯をぶっ掛けた。
はあはあ、これでもう生き返っては来まい。
気を取り直してお皿を洗おうとしたところ、床にピーマンの種が落ちているのが目に入った。
ああもう、あの人に料理をさせると後片付けが大変なのだったわ、と心の中で愚痴を言いながらしゃがむと、それはどうやらご飯粒のようだ。
しかし抓むと、ご飯粒にしてはぐにゃりとし過ぎている。
「!!」
目を近付けて確認する勇気さえ私には無かった。
どうか誰か、これはご飯粒だと言って!!
半狂乱でコーナーの中にそれを弾き飛ばし、泣きそうになりながらお皿を洗い終えた私は、ふと目を上げた。
正面のタイルには、伸び縮みする白い以下同文……しかも垂直方向下に向かって。
という事はつまり、一旦上へ上がったものの戸棚で行き止まり、復路を歩んでいたと言うのか。
それとも既に何往復かしたのか。
もう駄目。
その後私は半泣きで主人に訴え、コーナーと排水口の生ごみを即刻ビニール袋に2重にして梱包して貰い、インターネットで近隣地区のごみ収集日を調べさせ、その間自分は床に這い蹲り、目を皿のようにして4匹目を探した。
4回目の発狂は無かったが、生憎水曜日回収の地区は無いらしく、残りの冬瓜をどうするかという議題が残った。
外に出すと烏が突付く。しかし家の中には置いておきたくない。
考えた末、次の回収日までは厳重に黒いビニール袋に入れて、鳥除けのCDと共に、エアコンの室外機の上に放置する事に決定した。
勿論それらは全部、彼の仕事である。
「シオンごめんねえ、うちの親が虫だらけの物ばっかり持って来て。もう持って来るなって言おうか」
と彼は言う。
気持ちは有り難いが、口先だけの事である。
出来ない約束はしなくていいよ。
でももう、冬瓜は要らないわ……スーパーでも絶対買わない。


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