新しい美容院が出来たと聞いたので、行ってみた。 なかなかお洒落な店で、エステも付いているという。 ここまでは、前回の大失敗の教訓を生かすべく、実際の店に足を運んで、自分の目で確認した。 受付嬢に訊いてみたところ、開店したばかりの今なら予約無しでやって貰えると言う。 よーしそれなら。 散髪とパーマをお願いした。 店のトップがやってくれるし、大丈夫だろうと思った。
が、甘かった。
肩下まで伸びた髪をばっつり切って貰って暫くすると、首に不快感を覚えた。 ちくちくするので、髪の毛が着いているのかなと触ってみると、巻いたタオルと首の間には、切られた髪の毛が大量に溜まっているではないか。 私は刺激に敏感で、背中に髪の毛1本、顔に産毛1本着いているだけで、痒くて仕方が無い人間である。 すぐに助手の女の子に言って取って貰ったが、背中に入ったようで、今度は背中がちくちくし出した。 シャンプー台に載っても、気になって仕方ない。 もう早く帰りてーと思ったが、どんどん客を入れているようで店長はてんてこ舞い、無駄に待たされる時間の何と永かった事か。 しかもやっと終わると思ったら、最後に髪の毛をドライヤーで吹き飛ばしやがった。 繰り返すが、私は背中に髪の毛1本、顔に産毛1本着いているだけで、痒くて仕方が無い人間である。 美容院は絶対、仕上げ前に再度洗髪してくれる店でなければ駄目だ。 幾ら外観が綺麗でも、こんな無神経な店、2度と来るか〜! という次第で、この店も、私の2度と来るかリストに追加される事になったのだった。
支払いを済ませて歩き出すと、受付嬢が追いかけて来た。 「すみません、これお渡しするのを忘れてしまって。今、店の中がバタバタしていて、大変なんですよ〜」 ……店の中がどうなんて、客には関係無い事だと思うんだけれどね。 息を切らせて彼女が渡したのは、店の会員カードだった。 一応笑顔で受け取っておいたが、わざわざ届けてくれなくても良かったのに……どうせ2度と使わないんだし。 しかもよく見たら、名前間違ってるし! カードはゴミ箱直行決定よ!! 怒り心頭のまま帰宅すると、私はすぐにシャワーを浴びた。 勿論頭の天辺から。
「どう? この髪」 帰宅したダーリンに見せると、開口一番、 「クレラップ持って遊んでなよ〜」 と笑われた……。 うわあああムカつく!!
その後私が、「可愛い」と彼が言うまでしつこく「可愛い?」と迫ったのは、言うまでも無い。
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