自転車を買ってから、天気のいい日には、自転車で買い物に行くようにしている。 自動車と違って小回りがきくので、狭い道にも入れるし、道を間違ってもすぐに引き返せるのが良い。 新しい道を開拓しながら、名前は知らないけれど綺麗な花が咲いているなあとか、よく手入れがされている庭だなあとか、ふらふら見て回るのも楽しい。 そして自動車との大きな違い、それは匂いである。 花のいい匂いがしたり、土の匂いがしたり、肥料の匂いがしたり……目だけでなく、鼻でも季節を感じる事が出来る。
1番の発見は、遊歩道である。 自動車もバイクも入って来れない道で、片側には小さな川が流れ、その向こうともう片側には、綺麗な花や草木が植えられている。 道沿いの家々は、通行人に見られる事を意識してか、庭の手入れが行き届いていてとても美しい。 ここに住んで3年、道があるらしい事は知っていたが、実際中に入るのは初めてだった。 もっと早く自転車を買えば良かった、と後悔した。 近くの幼稚園のお散歩タイムにぶつかると、先生に誘導された園児達が、大きな声で「こんにちはー!」と挨拶してくれるのも、何だかくすぐったい。 ある家では、小川に面した庭で、鳥を飼っていた。 庭に2羽いるけれど、ニワトリじゃない。 近寄って来る猫を、逆に威嚇している。 私の後ろからやって来た園児の集団が、それを見付けて叫んだ。 「あーっ、アヒルだー!」 いや、白くないから家鴨ではなくて鴨だと思うよ……。
|