天上天下唯我独尊

2006年04月12日(水) 烏 何故啼くの

矢鴨やら矢鳩やら、野生生物に対する虐待のニュースを聞くようになったのは、いつからだったろう。
やってる奴は狩り気取りなのかも知れないが、食わないならやるな。それが野生のルールだ。

今日のニュースで見たのは、矢烏だった。
体に矢が刺さったままの烏は、それでも餌を探し、食い繋いでいた。
番組は「烏が可哀相」という姿勢で報道していたが、私は「酷い事する奴がいるもんだ」とは思っても、何でもかんでも「可哀相」で纏めようとするのには、違和感を覚えた。
だって、しょっちゅう「烏の被害」を報道するくせに、烏を傷付けるのは良くないと言うの?
それなら、烏にどう対処しろと言うのだ。
まあ、民放のニュースなんてどれも偽善的なのだが。

ほんの20年ほど前まで、烏被害対策として、ごみ集積所に烏の死骸をぶら下げておく地区だってあったのだ。
(私は見ていないが、学生時代の友人が証言していた。子供の頃習い事に行く先生の家がある地区で、そういう事が普通に行われており、友人はカルチャー・ショックを受けたと言う)
流石に今はやっていないらしいが。
曲がりなりにも今や県庁所在地だし。
それでも、確実に行われていたのだ。
私の記憶によると、雀を獲ったり殺したりしてはいけないが、烏ならOKと法律で決められている筈である。
勿論法律が全てではなく、生き物で遊ぶのは倫理的に許せる事ではない。
それは解るが、烏に対するいつもと違う民放の態度に偽善の匂いを感じて、嫌な気分になった。

先日、飛んでいる烏が道路に胡桃を落としているのを目撃した。
噂には聞いていたものの、初めて見たので一寸感激した。
それと、我が家の軒先には、昨年末からずっと、新巻き鮭の頭が吊るされている。
「これ、どうするの?」
とダーリンに訊いたところ、
「えっ、シオンまだ捨ててないの?」
と言われた。
私の記憶によると、解体の時、頭は干しておいて後で鮭汁にでもして食べようという話があった筈なのに、ダーリンは最初から捨てるつもりだったと言う。
「捨てていいよと僕が言ったのに、シオンが『ごみ箱に入れておくと虫が付くから嫌!』って言うから、『じゃあ取り敢えず外に干しておいたら? それなら虫が付かないんじゃない』と僕がそうしたんだよ。シオン、覚えていないの?」
と呆け老人扱いされてしまった。
この間、窓の外でガタガタ音がするので、風が強いのかなあと思い、様子を見ようとカーテンを開けたところ、烏と目が合った。
虫は付かなかったが、烏が突付いていたか。
烏も驚いたのだろう、鮭の頭からさっと離れると、どこかに飛んで行ってしまった。
ああ、いつも捨て忘れるんだよな……何せ窓の外にあるものだから、ごみ捨ての時に気付かないのだ。
今度こそ捨てなければ。


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