阿呆的日常 主にJとかプロレスとか。
アホラレツキノウアシタ

2004年07月05日(月) 七夕。(シマサナ@トッキュー)/ザンプ。

ガキの頃からガキらしくなくて。
オトナになってもそれは変わらなくて。
けど、それなりにガキっぽいところが出てきてるような、
そんな気がしてる。



嶋本は自分の過去を振り返っていた。
父親は海上保安庁のお偉いさん。母親はそんな父が歩んだ
道を息子にも辿らせようとそれはもう赤ん坊の頃から
「お父様のようになるんよ」と子守唄代わりに聞かせていた。
インプリンティングというか何というか、綺麗にそのように
育ったように思う。
中学、高校と水泳部に所属し、全国大会でもいいところまで
いった。オリンピック代表選考会に出たこともある。けれど、
父親が派手なことを嫌って結局オリンピックには出なかった。
出ていたらまた人生は変わっていたかもしれないけれど。
高校を卒業し、海上保安大学校に入学した。
周りはなぜか嶋本がお偉いさんの息子であることを知って
いた。おかげで何をしても、どんな成績を収めても「あぁ
あの人の息子だもんな」「将来は決まったようなもんや」
「幹部中の幹部候補」「安泰やな」と言われるだけで、自分
の実力など誰も認めてやくれなかった。
どんなに座学でトップの成績をとっても、どんなに実技で
随一の成績を収めても。
そんなもの、一年で慣れてしまった。
最初の内はやっきになるところもあったし、意地でも見返
してやると感じる部分もあったが、自分に付き纏う父親の
影はどう頑張っても振り払えそうになかったし、それなら
いっそ、それに甘んじてしまえばいいと思った。
それでも悔しかったから学年総合一位の成績を貶めるような
真似はしなかったけれど。
だから嶋本が幹部職員の道を捨て海上保安官になったとき
には誰もが驚いた。
おかげで特殊救難隊となった今も半勘当を彼は食らっている。
実力を認めてもらうにはその道しかないような気がしていた
のだ。そんなことを父親に言ったとしてもわかってもらえ
ないだろうと思っていたし、誰に言ったとしても贅沢な悩み
だと一笑にふされるのが落ちだ。
嶋本は海難に何度立会い、何度人命を救おうと、どうにも
冷め切っていた。仕事だと割り切っているせいも当然ある。
いつだって冷静に状況判断し、何が適切か、何が最重要項目
か、何が危険か、それを見極める力が何より必要だったし、
そのための自分の命であるとも思っていた。
最優先項目は『人命救助』それプラス己の命の確保があるの
だから。
自分の命あってこその救助であり、自分が生きていなければ
救助などできない。
自分が生きて帰ること、それを条件として常に救助を考え、
全てを判断するのだ。
冷め切っている精神はそんな価値観を抱くことを容易にして
くれた。
『トッキュー』としてそれは必要な価値観でもあった。
間違った価値観ではなかった。


嶋本が配属されて間もない頃、隊長に就任したのが真田甚。
最速で特殊救難隊隊長に就任した真田は『神兵』と呼ばれ
人命を救えなかったことがない男だった。
当然同じ救難隊の隊員として尊敬に値する男だったし、何
よりその姿勢が嶋本にとって気分が良かった。備わった実力
があるのにそれに奢らない。目の当たりにしたレスキューは
今でも鮮明に思い出せる。
真田はこの人の下で働きたいと態度で思わせる男だった。
嶋本は上司が代わっただけと冷めた目で見る素振りをしながら
彼の下で働ける喜びを感じていた。
真田のようになりたいと思った。
そして、真田に認められたいと感じた。
父親や、自分の周りにいる同僚たちにではなく、誰より真田
に認められたい。
そうすれば自分はようやっと『一人で』立てる気がしていた。


「あれ?これって七夕の笹ちゃいますか?」
特殊救難隊は羽田に基地を置いている。
その出入り口に小ぶりの笹の枝が置かれていた。
「あぁ、今日は七夕だからな」
奥にいる真田が嶋本に答えた。
「これ、どないしたんですか?」
「もらってきたんだ。七夕だから」
笹の方へ歩いてくる真田の手には『短冊』と思われるものが
ある。コピー機から引っ張り出したA4の紙を四等分にした
レベルのものだが。
「願い事を書こうと思って」
と言って真田はセロハンテープで笹に『短冊』を貼り付けた。
「願い事……って」
「神頼みする歳でもないが、そういうところがないわけじゃ
ないってことさ」
「真田隊長」
嶋本は笹にくっついた『短冊』を見る。
――どんな命も失いませんように。
真田の字でそう書かれていた。
「隊長、こんなこと書かへんでも隊長は命失うたことあら
へんやないですか!何でこんな、命救うんは織姫でも彦星
でもないです。俺たちやないですか!」
嶋本は思わず声を荒げる。
「俺たちやから助けられる、そうなんちゃいます?俺たち
やから助けなあかん、俺たちやから」
「嶋本」
自分の机に戻り、『短冊』とペンを持ちながら真田はまた
笹へと歩み寄る。
「俺たちの命あってこそだろう?」
「たい、」
「だから『どんな命も』なんだ。俺たちは俺たちの命が
あってこそ、救える命がある。失う覚悟を持つんじゃない。
失わない強さを持って救いに行くんだ」
真田は嶋本に『短冊』とペンを渡した。
「お前は誰より冷静に状況を判断し、救難活動を行って
いることはわかる。バディを組んでもお前なら俺は安心
できる」
「隊長」
「だが、嶋本。それは常に命を失うことと紙一重なんだ」
受け取った手が少しだけ震える。
「俺は全ての命を失いたくない。わかるだろう?それは
お前だって同じだ。だから神頼みをしたくもなる。織姫と
彦星は神様ではないけどな」
『神兵』と呼ばれる男が告げる言葉に嶋本は思わず泣き
そうになった。
「嶋本」
「はい」
「お前はお前だ。他の誰が何と言おうと、俺はお前がここに
いてくれて良かったと思っているから」
ポンと真田の手が嶋本の頭に置かれる。
「あまり深く悩むな。お前はお前でさえあればいい」
涙を堪えるのがこんなに大変だなんて、嶋本は思いもしな
かった。



嶋本は短冊に書いた。
『一生隊長の下でレスキューを』
どんな命を失わずとも、誰よりあなたの命を失いたくない、
そう思ったから。





父親の影の向こうには、真田の姿があった。
それを追いかけたいと思った。
『一人で』立てたような気がしたけれど、それは『一人』
だけではない。真田がいるからこそ立てたのだ。
『命』の価値観がこのときに変わった。
だからこそ腹が立った。
真田が転覆船に取り残されたとき。
『トッキュー』としての判断が間違っていなくても、助け
に行くことを躊躇う自分が。
そして助け上げた自分が。


――だって、あなたの命を独り占めしたいと思っていた。
――失いたくない、それだけじゃない。




ガキのような感情が嶋本の中に生じていた。







日記カウンタ66666HIT御礼、亜紀さんへ。
トッキューは嶋本×真田SSでございます。
って、シマサマっぽくねぇ!むしろ逆!?な。(切ない)
ワタシの中の嶋本くんはこんな人。
坊ちゃんです(笑)

ってこんなんでマジすまん、つーかゴメン(同じ)
あぁでも書いてて楽しかったー!


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おはようございます。
乱菊さんが出ない日々が続いておりますが、それもまた
久保先生の恩情と素敵に勘違い(ていうか病気)している
月曜、巻頭カラーのマンガにはまたしても声出して笑って
しまいました。
菊が堀尾みたいになってて、千石風の人が出てました。
切ない。

↓こっからグチっぽいこと。


なんつーか。
もう誰もがわかっていることと思うのですが、ワタシも
わかりながら目を瞑っていたんですけども、そろそろ限界
も近いかなぁなんて思っています。
やっぱり『好き』な気持ちこそ大事だし。
同人は好きなんだけど……未だに同人誌は買うんだけど。
先週の月曜とか火曜も同じこと言ってましたが、そういう
気持ちになっちゃうんです、本誌読むと。
他で萌えすぎているせいも否定はしませんが。
いろいろ葛藤してます。
本誌好きの方には申し訳ないし、そんなこと(一応)ファン
サイトなんだから書くなと思われても仕方ないですね。
4年目迎え、これやったりあれやったりするつもりでいる
けども、こんな按配じゃ厳しいかもしれないです。
カタをつけるために走り出しそう(笑)
でもコレだけは来年もやりたい!とかほざいてる部分も
あるので完全にどうのってことはなさそうですが。
ていうか、今年いっぱいで終わりそうにないのもあるし。
いっそ同人熱も同時に冷めてくれたらいいのになぁ。
それがあるだけに切ないの。
やっぱり原作萌えと同人熱がいいバランス取れてるときが
一番いいのかな。原作萌えが過ぎると同人がダメってこと
あるし、同人熱が過ぎてもしんどかったりするだろうし。
ワタシの場合、何か理由を探そうとしてるようにしか見え
ないだろうけど、それでもカップリングに愛はあるんです。
それだけが今ココにいる理由みたいなもんで。
縮小撤回したけど、どうにもイカンですね。


ぐちっぽいこと、オワリ。


そんな感じ、そんな気分。

夏頑張るリスト。
・KYO主従アンソロ原稿
・本宅更新(365だけでも)
・乱菊さん宅更新(本誌次第)&原稿
・藤真お誕生日企画
・妄想庭園に忍菊降臨
・ヒカ碁サイト連載更新
・ゴルフ
・油絵
・長野博祭←?
秋頑張るリスト
・鰤オンリ準備
・ヒカ碁サイト最終祭り(最終日までやる)
・本宅連載終了させる
・千菊祭
冬頑張るリスト
・心機一転


がんばろー。


き あ ぬ