寝たきりのあばあちゃん。目が悪く、ほとんど目は閉じた状態。 言葉も発しない。 何かを聞いたときに軽くうなずく程度の反応。 ご飯も食べられず、鼻からチューブを入れて栄養ドリンクのようなものを入れている。 ほとんど無反応の毎日。 でも私たちは何かをするたびに声をかける。 『おはようございます』 『体拭きますね〜』 『気持ちいい??』 『今日は息子さん来てますね〜〜〜』 ま〜恥ずかしながらボキャブラリーの少ない声かけです。 今日手を拭いてたら、なんとなく指に見入ってしまった。 とっても綺麗な手。 80代なのにしみもなくしわも少ない。 指が長くて指先は綺麗にとんがってる。 なんだかうっとり。 『ツエさ〜ん』(そう、以前にも登場したツエツエ・・・) 『すごく綺麗な手してるね。うらやましい!!』 すると無表情なツエさん、フッフッフって笑った。 えっ?今笑ったよね。 『ツエさんピアノしてた?』 『えっ?』ツエさん聞き取れなかったのか聞き返してきた。 『ピ・ア・ノ。昔ピアノしてた?』 『してない』かすれるような声で、しかもうっすら笑いを浮かべながら。 『そうなんだ〜、すっごく綺麗な指だ〜〜』 私は何よりもツエさんが笑ってくれたことに大感激!! ツエさん、生きてるね!! それから私の褒め殺しが始まるのであった。 ツエさん、毎日あなたとお話するのが楽しみでしょうがないわ。
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