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無表情
2002年01月22日(火)

寝たきりのあばあちゃん。目が悪く、ほとんど目は閉じた状態。
言葉も発しない。
何かを聞いたときに軽くうなずく程度の反応。
ご飯も食べられず、鼻からチューブを入れて栄養ドリンクのようなものを入れている。
ほとんど無反応の毎日。

でも私たちは何かをするたびに声をかける。

『おはようございます』
『体拭きますね〜』
『気持ちいい??』
『今日は息子さん来てますね〜〜〜』


ま〜恥ずかしながらボキャブラリーの少ない声かけです。

今日手を拭いてたら、なんとなく指に見入ってしまった。
とっても綺麗な手。
80代なのにしみもなくしわも少ない。
指が長くて指先は綺麗にとんがってる。
なんだかうっとり。

『ツエさ〜ん』(そう、以前にも登場したツエツエ・・・)
『すごく綺麗な手してるね。うらやましい!!』
すると無表情なツエさん、フッフッフって笑った。

えっ?今笑ったよね。

『ツエさんピアノしてた?』

『えっ?』ツエさん聞き取れなかったのか聞き返してきた。

『ピ・ア・ノ。昔ピアノしてた?』

『してない』かすれるような声で、しかもうっすら笑いを浮かべながら。

『そうなんだ〜、すっごく綺麗な指だ〜〜』

私は何よりもツエさんが笑ってくれたことに大感激!!
ツエさん、生きてるね!!

それから私の褒め殺しが始まるのであった。
ツエさん、毎日あなたとお話するのが楽しみでしょうがないわ。





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