みかんのつぶつぶ
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彼が空に旅立ってから、我家の夜に明かりの消えることがなくなった。 部屋を暗くすることができなくなったのだ。息子の部屋も、そして娘の部屋からもドアの隙間から灯りがもれているのを見るのは、とても辛いんだ。うっかりして消さないのではない、毎晩のことだから。明るくて眠れない、のではなくて、暗くして眠れないのである。
息子の部屋のテレビにはガムテープが巻かれている。ぐるぐると。受験勉強に集中するための自分への戒めなのだろう。追い詰められてしまうのは避けたいが、これも息子が選択した道なのだ。
車椅子に乗る父親の姿。自宅を認識できないでいる父親の言動。子ども達には、ショックが大きすぎた。ショックで触れることが怖かったのだろう、そうしているうちに二度と会えないところへ旅立った父親。 あの日常と、夫である彼の状態に麻痺をしていた私は気づくことができないでいた。
神は、私の知らないところで息子へ試練を与えていた。
悲しい。 悲しい。 だけど、明日を生きるために息子は苦しんでいるのだろう。
今日は、娘の十六歳の誕生日。 ちっちゃく生まれて大きく育った娘。 父親似でお父さん大好きな娘。
どうして神さまは、あなたからお父さんを奪ってしまったのだろうね。 きっと、これから出遭うよ、お父さんみたいな人と。見逃さないでね。
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