明け方、仕事をしていると窓から何かが飛び込んできたので驚いた。ビルの4階なので飛び込んでくる可能性のあるもといえば普通、鳥だ。屋上から誰かが撒いた金、という事もあり得るが可能性としては低そうだ。調べてみるともちろん鳥で、やっと飛べるようになったばかりの雀の仔。下手に触って人間の匂いをつけてしまうと仲間はずれにされるかもしれないので、無事を確認して放置。 そういえば窓から鳥が入ってくるのは幸運の前兆、という話をどこかで聞いた気がする。それとも俺が勝手に作ったのかな。いやいや、そんな事はあるまい。仮にそうだとしても世界中のどこかにはきっとそんな話があるんじゃないのかな。ありそうな話だもんな。実は部屋の窓から鳥が飛び込んできたのはこれで3度目。前の2度は子供の頃で、前のは近所で飼ってたインコ。これはすぐに飼い主が判明してお返しした。その前ははボロボロのカナリア。羽があちこち抜け落ちて、しかも片足が根元からなかった。ひどい目に遭ったんだろうねえ。なぜかこれをひどく気に入り、その後10年近く飼っていた。ウチに来た時にはもう立派なおとなだったから、カナリアとしてはかなり(お、シャレだ)長生きだったのではないのかな・・・ ・・・などという事を思い出したのは、だ
俺の人生、今までに3回も良い事があったんでしょうかね?!
という思いにふと、駆られたからだ。ああ、イカンなあ、こういう事を考え出すともう「上がり」が近いんだろうなあ、とも思うのだが考えてしまったものは仕方がない。本当に鳥が飛び込んでくると良い事があるのだろうか。良い事というのはどんな良い事なのだろうか。もしかしたらすごく小さな良い事だったのだろうか。これが雀やカナリアでなくコンドルだのダチョウだのドードー鳥だのといったでっかい鳥なら良い事もでっかかったのではないだろうか。もっとも、ダチョウがどうやってビルの4階辺りをウロウロするのかは知らんし、ドードーが飛び込んできたら間違いなく億万長者だろう。食い殺されなければ、の話だが。 ふと気がつくと人生の苦悩が馬鹿話に取って代わっていた。こういうヤツなんだなあ、やっぱり俺は。良い事があったって気がつくワケがねえよなあ・・・
ちなみに雀の仔は10分後くらいに無事、飛び立って行きました。親鳥が呼びに来たみたい。いいか、捕まらなかったのはお前にとってはすごくラッキーな事なんだぞ。忘れるなよ。
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