INDEX|過去の日記|未来の日記
2月16日の「王様の耳はロバの耳/Reiko Katoのお仕事日記」を読んで、
思い出したことを書いてみようと思う。
昨年、母親が入院していた病院では、大部屋にはもちろん電話はなく、
入院患者はロビーに出て公衆電話をかけなくてはならなかった。
個室には電話が設置してあったが、確か病院外には通話できなかった
ような…? (何故?)
だから入院患者も付き添いの人間も、外部と電話連絡するためには
ロビーの公衆電話を使わなければならない。他の人が電話中のときは
しばらく待たなければならないし、ベッドから離れられない容態の病人は
当然、ロビーの電話を利用することはできない。そんな状況だった。
入院が長期化するにつれて、母親が精神的に不安定になってきた。
「早く家に帰りたい」と突然泣き出したりするので、病院の看護婦から
何回も大至急で呼び出された。しかし、なにせ私は、病院まで新幹線を
使って2時間もかかるところに住んでいるので、そう簡単に顔を出しに
行くこともできない。忙しい仕事の合間を縫って、できる範囲で病院に
足を運ぶのが精一杯だった。しかし私には週に一回が限界であった。
そんなときよく思ったものだった。
「病人の枕元に電話があればなぁ」
ベッドから動けない容態でも、外の誰かに連絡をつけられる。
せめてメールのやりとりが出来れば、最低限のコミュニケーションは
手軽にとることが出来る。
そう考えて、「母にPHSを持たせることができないでしょうか?」と
主治医の先生に相談した。携帯電話を使えば、医療器具に悪影響を
与えるだろうけれど、PHSならば電波が弱いので大丈夫ではないだろうか
と考えたのだ。しかし、
「そういうツールを使うこと自体はいいですね。
しかし、大部屋では他の患者さんもいるので、一人だけPHSが
使えるというのは不公平になりますから問題ですね」
と先生に言われた。
確かに一人だけPHSを使っているのを見ていたら、他の患者が
「なぜあの人だけ?」と嫉妬するのかもしれない。
だけど、たかがPHSひとつだけで、不安定な患者のメンタルケアが
出来る(かもしれない)のは確実なのだ。
その日病院を立ち去った後、こうなったらコッソリとPHSを
持ち込んでしまおう、と考えて準備しているうちに、母親の容態が
どんどん悪くなっていき、最終的には不要になってしまったので
この計画は実行に移していない。
そもそも現代では、ずっと病人に家族が付き添っていられるほど
余裕のある人は少ないのではないだろうか。
こういう時代だからこそ、病人の枕元に電話やメール端末を置いて
病院外にいる家族や友人や親戚とコミュニケーションがとれるように
なるといいと考えるのだが。
あの「なにがなにやら」が本になりました!詳しい情報はこちらもしくはこちらへ。某直木賞作家も激賞!の内容だよ。
よろしければ、↓の記念てぬぐいもどうぞ。
◎この日記の著作権は、ゆうにあります。無断利用は禁止します。リンクはご自由に。