Sun Set Days
DiaryINDEXpastwill


2003年07月26日(土) 釣り+『猟奇的な彼女』

 いまは27日の午前2時過ぎ。

 前回のDaysを書いた後、1時間だけ仮眠をとってから眠気覚ましのシャワーを浴びて、それから集合場所へ向かった。
 釣りに行く約束になっていたのだ。
 集合時間は2時40分で、少しだけ早く着いたので目の前のコンビニ(待ち合わせ場所はコンビニの前だった)で飲み物やお菓子を買う。目的地は河口湖だったので、ちょっとしたドライブ気分だったのだ。
 コンビニの外は随分と暗く人気もなく、電灯やコンビニの照明だけが輝いていた。車通りもほとんどなく、ようやく来たと思ったらそれは車を出すことになっていた後輩のものだった。
 今回は3人で行くことになっていたのだけれど、もう1人は少し遅れて到着し、それから出発する。
 横浜から河口湖まで行くためには東名経由か中央道経由かがあるけれど、今回は後者のルートで、八王子から中央道へ抜ける予定だった。

 車の中では、3人とも数時間前の22時半には仕事場にいたというのに、やたらとハイテンションだった。ほとんど車のない深夜の高速を、車は快調に飛ばしていく。こんな時間に車に乗っているなんて随分と久しぶりだと助手席に座りながら思っていた。深夜の高速には独特の感じが常にある。それはこのまま夜が永遠に終わらないのではないかと錯覚してしまうような感覚で、それなのに空が次第に白んでくると世界が動き出しているのだということをふいに思い出させてくれるような感覚だ。車がスピードを出しているせいなのか、それとも高速道路が遠くまで景色を見ることができることが多いからか、世界が動いていく様をまざまざと見せられ実感させられるような気がしてしまうのだ。
 どうしてなのかよくわからないのだけれど。

 途中、談合坂のサービスエリアで休憩し、それから富士急ハイランドのすぐ側を通り抜けて河口湖へ向かう。そのときの時間は午前5時30分。随分前に元日に富士急ハイランドに出掛けたことがあって、そのときにはじめてフジヤマに乗ったのだけれど、早朝のフジヤマは巨大な恐竜の骨みたいに、朝の鈍い光を浴びて輝いていた。空は曇りで、ところどころから太陽の光が漏れ出ているような感じだった。

 河口湖が目に入ると、思わず3人で歓声をあげる。海や大きな湖、つまりはたくさんの水はどうしてか人を惹きつける。それは人の体の結構な割合が水だからなのかもしれないし、もっと根元的な記憶に拠るものなのかもしれない。けれども、普段の生活の中では目にすることのない湖の光景に、しかもそれが早朝という境目の時間ということもあってか、なんだか窓から見入ってしまう。

 車はしばらく湖沿いの蛇行を繰り返す道路を走り、ものすごく細い路地へと入っていく。後輩はいままでも何度も河口湖に来ていて、釣りをするためのポイントをちゃんとわかっているのだ。車を降り、道具を用意してから、そのポイントまで後輩について歩いていく。僕ともう1人の後輩はほとんど釣りをしたことがなかったから、詳しい後輩にいろいろと教えてもらう。

 その場所は、穴場的な場所で、ほとんど釣り人たちの姿がなかった。湖の先には小さな島のようなものが見えていて、そのさらに先には湖畔を囲む建物が遠く曇天の下に見えている。水は汚れていると聞いていたほど汚くはなく、カモの親子が連なって泳いでいたり、魚がときおり飛び跳ねたりもしていた。午前6時前後だというのに、舟に乗った釣り人や、湖畔で竿を揺らしている釣り人の姿が遠くに小さく見えていた。僕らも同じように竿を手に釣りをはじめる。

 釣りは楽しかった。久しぶりということもあって新鮮で、しかもルアーでのブラックバス釣りは2度目だったので、いちいちがおもしろかった。遠くに投げてみたり、近くに投げてみたり、リールを巻くのも楽しく感じられさえしていた。途中、手を止めて肩掛けカバンの中に入れていたデジタルカメラを取り出して湖の写真も撮った。それと、自然の中でのんびりとということも目的のひとつだったのだけれど、それもちゃんと実現した。空気は清々しくきれいで、深呼吸をしながら普段は意識して深呼吸をすることが少ないよなということを考えたりもしていた。

 それからしばらくして朝食を食べに行こうということになり、湖畔のセブンイレブンまで車で戻った。セブンイレブンのすぐ近くにはマクドナルドもあって、河口湖畔にまで店舗があるなんてと驚きもした。朝食はコンビニで買って、その近くの大きな駐車場に車を止め、湖に面したベンチに座って食べた。
 3人とも睡眠時間がかなり短かったので、それから車の中で2時間だけ仮眠をとった。起きたときには体の節々が痛くなっていたけれど、2時間という短い時間でも体の疲れは大分とれて、それから釣りの第2ラウンドへ出掛けたのだった。

 結局、午後2時半少し過ぎに雨が降り出すまで釣りを続けていた。釣果は合計3匹で、釣好きの後輩の2匹と僕の1匹。もう1人の後輩は1匹も釣れなかった。けれども楽しいと言っていたけれど。
 そして、突然の雨に「そろそろ撤収しようか」という話になる。車に戻るのとほぼ同時に雨は激しくなり、しまいにはスコールのような土砂降りになってしまった。山の天気は変わりやすいという言葉を口々に言いながら、今度は次の目的地である温泉を目指す。

 西湖の湖畔にある「いずみの湯」というところに行った。日帰り温泉の施設で、いくつかのお風呂(露天風呂や薬草風呂など)やサウナなんかがある。かなり気持ちよくて、たっぷり1時間以上そこにいた。温泉を出ると雨は小降りになっていて、ますます山の天気は変わりやすいと言い合う。

 最後に、河口湖近辺の名物であるほうとうを食べて(力もちほうとうを食べた)、帰途につく。数年ぶりに食べたほうとうはかなり美味しかった。

 帰りの高速ではまたまた雨が激しくなり、高速道路の速度規制も当たり前のように起こっていた。フロントガラスを叩く激しい雨は、思わず驚いてしまうくらいの勢いで、浅い川のうえを走っているみたいだった。

 そうして帰りは雨のせいか、あるいは渋滞に巻き込まれていたせいかかなり時間がかかり、21時頃の帰宅となったのだった。
 また行こうという話をして別れた。
 楽しかった。


─────────

『猟奇的な彼女』のDVDを買った。そして見た。面白かったのだけれど、本編以外でも特典映像が魅力的だった。特典映像の中に「未公開シーン」が収められているのだけれど、これは本編のあるシーンの前後のカットされたシーンばかりを集めたものなのだけれど、それがまたよかったのだ。好きなこの作品のあのシーンの前後にはこういうエピソードや仕草や会話があったのだということがわかるだけで、ただでさえお気に入りの作品がさらに親密に思えるような気がするのだった。

 後輩に貸す約束をしているので、周囲で流行らせようとあらためて思う。
 DVDは初回特典で小さな下敷きのようなものをもらった。


─────────

 お知らせ

『猟奇的な彼女』はやっぱり面白いのです。


Sun Set |MAILHomePage

My追加