Sun Set Days
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2003年02月13日(木) My desk

 昨年末に机を購入した。
 実際にそれが配送されたのは1月だったのだけれど、自分ではじめて買ったちゃんとした机だ。
 自分の人生の中ではダイニングテーブルの流用を含めると4台目の机ということになるのだけれど、その日まで買う予定のなかったその机は、いまでは随分とお気に入りの物になってしまっている。
 意味もなく引き出しを引っぱり出してみたりしては、嬉しくなったりしている。

 一番最初の机は、たいていの例に漏れず小学校に入学するときに買ってもらった学習机だった。
 最近のもののように半棚タイプでもなく、環境に優しいわけでもないごく普通の全棚タイプの学習机。横にランドセルを引っ掛けるフックがついていて、インバータータイプではない蛍光灯がついているもの。
 なんだかんだで、その机は高校生まで使っていた。学習椅子も机と同じ色の、下に小さなキャスターがついている木製のタイプだった。小学生の頃は、アニメのキャラクターのシートクッションを置いていた。表面になんだかよくわからないシールを貼り付けたり、引き出しの中に自分で描いたキン肉マンのイラストをしまっておいたり、長年使っていたせいかいまでもどんな机だったのかを思い出すことができる。

 二番目の机は、高校2年生のときに買ってもらった。机ももう随分古くなったし、少しは背も伸びたので使いづらくなっただろうというのがその理由だった。そのときは高校生男子だったので、どうしても黒い机が欲しかった。部屋の窓にはカーテンではなくてブラインドだとか、意味もなく部屋にモノクロの写真のポスターを貼り付けてみたいだとか、ちょっと勘違いしたようなインテリアに憧れていた頃だったのだ。若いよなあといまでは思うのだけれど(埃の掃除が面倒なので、いまでは断然カーテンの方がいい)。
 ただ、その黒い机は全部黒ではなくて天板はナチュラルな木の方がいいと思っていて、結局は店頭になかったため近くの家具屋でカタログから希望に近い商品を選んだ。配送される日は随分と嬉しくて、よし、この机に名前をつけようとか思って実際につけたりもした(もちろん、僕はその机の名前を覚えているけれど、さすがにちょっと恥ずかしいのでここでは書かない……)。

 その机は大学に進学した後も、社会人になった後も、何年も僕の部屋にあった。右袖が固定されているタイプの机で、左側には横長の引き出しが1つ、右側には、高さのない引き出しが3つ(一番上の引き出しには鍵をかけることができる)、高さのある引き出しが1つついていて、それぞれの引き出しに文房具だとか、部屋の契約書だとか、授業で使用するものだとか、様々なものを入れていた。一番大きな引き出しなんかはすぐに様々なもので溢れてしまい、定期的に整理をしていた。捨てるものとそうでないものとにわけて。

 学生時代にはその机の上にワープロを置いて文章を書いていたし、3年生の冬にはアルバイト代を貯めて購入したマックのPerforma5220も置いていた。卒業論文なんかを書いていたのだ。購入当時はWindows95が出た頃で、当時の恋人や友人たちはDOS/Vパソコンを購入していたのだけれど、僕の所属していたゼミの教授がマック大好きな人だったから、互換性云々でゼミのメンバーはマックにしていたのだ。

 社会人になった後も、会社に提出するレポートだとか、そういうものをその机の上で書いていた。最初の頃はワンルームに住んでいることが多かったのだけれど、その部屋にはベッドは置かず机を置いていた。だから部屋の中の結構なスペースを何年もの間机が占めていたことになる。

 それから、部署の異動があって、三番目の机を購入した。
 それはフロストガラストップのダイニングテーブルで、引越しを期に購入した。My Roomのところに写真があるけれど、当時はダイニングテーブルで食事も仕事もすべて兼用するということに憧れていて、お金を貯めてそれを購入したのだ。元々がダイニングテーブルだから幅は135センチあって、それまでの机(110センチ)よりも広く、随分とスペースを使用することができるのも嬉しかった。そのときの部署では部屋で資料を作成することが多かったのだけれど、そのときに様々な書類を広げるのにも重宝した。本当に、食事も仕事も趣味(文章を書くとか、読書するとか)にも活躍した。
 このサイト(Text Sun Set)を作ったのもその机の上だったし(そのときにもホームページの作り方みたいな雑誌をたくさん広げていた)。

 そして、昨年末にまた部署異動の為引っ越すことになり、いまは新しい部屋で暮らしている。
 最初は机を購入する気持ちなんか全然なかった。むしろ本棚が欲しくて、もう1年以上もこれ! という本棚を探していた。けれどもそういうものはなくて(もちろん、お金を出せばすごいのはあるのだけれど、リーズナブルな価格ではなかなかなかったのだ)、まあ新しい部屋でもまたダイニングテーブルですべて兼ねようと当たり前のように考えていたのだ。

 そう思っていたところに、ある店でいまの机と出逢ってしまった。
 びっくりした。物に一目ぼれをするのなんてもう久しくなかったから(冷蔵庫以来?)、何度もじっと見てしまった。目の前で見て、少し離れたところから遠めに見て、それからまた近付いて見て。なんだか憧れの先輩をじっと見つめてしまうように、その机に目を奪われて目をそらせなくなってしまったのだ。

 それはビーチ材の両袖机で、左右に引き出しがついているタイプなのだけれど、ただその引き出しがぴったりと箱組みになっているのではなくて、片側4つずつ引き出しを入れるスペースが開いていて、そのスペースに片側2つの上の開いた箱型の引き出しを自由に入れるものになっている。幅はなんと170センチあって(奥行は74センチ)、かなり大きい。けれども、そのデザイン(逆台形)のせいか圧迫感のようなものは少ない。そういうやつだった。

 そのときの恋人と街に出掛けているときに見つけたもので、ただ値段が結構したので、いいなぁーと思いながら一度はその店を離れた。けれども、他の店を回っていたり、食事をしている間も、ずっとそれがいいなと思っていた(もちろん、口に出したりもした)。ちょうど冬のボーナスが出たばかりで、現実的にそれを購入することはできた。ただ、それでも高いよなあと思い、結構真剣に悩んでしまっていた。

 そして、その日のうちにもう一度その店に行った。
 いま思えば、そのときもまだ悩んではいたのだけれど、もう一度同じ店に行くことを決めた時点で結局は購入することは決めていたのだと思う。少し高いものを買うときに人がよくするように(自分だけ?)、これはもう一生物だからとか、ボーナスを使うのだから頑張った自分へのごほうびだとか、いろんな理由をつけて、けれども日々その机を使えたらいいなという気持ちに押し切られ、購入した。4つ目の、そしておそらくは最後の机を。

 購入したのが年末だったこともあって、配送は1月中旬だったのだけれど、届いたときにはやっぱりかなり嬉しかった。午前中の納品だったのだけれど、配送の人が2名で組み立ててくれているのをずっと見ながら、もう机を買うことはおそらくないのだろうなとぼんやりと思っていた。
 そしてこれからは、この机に負けないくらい趣味を楽しみ、仕事も頑張ろうとあらためて思った。


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 お知らせ

 またまたという感じですが、最近は『猟奇的な彼女』のサウンドトラックばっかり聴いています。22日からは公開劇場もさらに増えて、みなとみらいのワーナーマイカルにもきますよ。


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