私:「お義母さんは女の子版の漢字を気に入ったみたい。 男の子でもこっちの漢字にすればいいのにって言ってたんだって」
何気なく両親にそう告げた。 話題はもうすぐ産まれる我が子の名前のこと。
性別が判明する前から男の子だったら「利玖」、 女の子だったら「璃玖」にしようと決めていたのだ。
母:「ママもそう思ったわ。だって『利』って漢字は普通すぎるし」
父親もその話に乗ってきた。
父:「うんうん。周りに『利』って漢字を使ってる知的な人いないしな」 私:「そう? 賢そうじゃん。『璃』は女の子のイメージが強い漢字だし」 母:「賢そうなのがいいなら『理』にすればいいじゃない」 私:「『利』だって賢そうじゃない」 母:「そうは思わないわ。お義母さんにもう一度、母にもこう言われましたって聞いてごらん。きっと同じこと言うわよ」 私:「誰にいくら反対されても、もう変える気はないから」
不満げな両親を無視して話題を変えた。
彼らが帰った後、 「そこまで言うかって感じだったな」と、 何度も両方の漢字を紙に書きながら、 独り言のようにつぶやいたダンナ。
彼が私の両親への不満を露わにしたのは初めてだった。
翌日、 義父母が遊びに来て、 こちらがふったわけでもなく、 また名付けの話題になった。
義母は一言、 「リクって、本当にいい名前だわ」 としみじみと、 かみしめるようにそう言ってくれた。
ありがとう、 お義母さん。
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