「キミは寝たの?」毎朝、ダンナに聞かれる。私は「おはよう」とだけ答える。『昼間に一杯寝て眠れなくて』という顔を作る。ダンナにだけはこのうつ傾向を知られたくない。知られてしまったら、私はもう歯止めがきかない。私は弱さを武器にして、彼の優しさにつけこんで、きっと今以上に、最悪の人間になってしまうことが、手にとるようにわかるから。