みたいな集まりがあったので、興味本位で出かけていったら下っ端と言う事でいろいろと下働きをさせられた。いやそんな事はどうでも良い。
雑用からの帰り際の夜遅くに、今年から社会人になった一年下の後輩たちと「観覧車に乗ろうぜ!」と意味も分からず盛り上がり、なぜかみんなで観覧車に乗ることになってしまった。言い出しっぺは間違いなく自分だが、そんな事もどうでも良い。
勢いだけで乗り込んだ連中を乗せて小部屋はのんびりと動き出した。
「なんだか、初めてのデートみたいですね」と、後輩が苦笑いしながら呟いた。暗闇の中にただ広がる海とその海岸線に沿って線状に伸びる光。ビーチでは巨大な扇風機がゆっくりと回っていた。我が物顔で街を歩く異国人がだんだん遠く小さくなっていく。他に夜遅くから観覧車に乗っているような物好きはいなかった。
登りつめるその前に小さく開く窓を開けると海からの突風が舞い込み小部屋はぐらりと小さく揺れた。海の反対側をふと見ると、遠く続く暗闇の中に我が国に居座り続ける他国軍の基地がどこまでも広がっていた。
(*)観覧車の写真はこちら
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