解放区

2001年09月29日(土) 娘と。

今日はかなねさんと二人。川縁の道を手をつないで歩いた。こっちの人差し指を、彼女は5本の指を総動員して握る。

橋を渡る。その時、川で泳ぐ魚を見つけたので、彼女にそれを告げると、じーっと川を見ていた。この橋は歩道が無く、そのくせトラックなどがびゅんびゅん通っていて結構危ない。ので、彼女をかばいながら一緒に川の水辺を見つめた。泳いでいる魚が見える。「危ないから渡ってしまおうか」などと言う大人の論理はできるだけ押し付けたくないので、彼女が飽きるまで一緒に「あっあっこにも魚が!」「ほんまや!向こうにもいるで!」と遊んでいた。

駅に着く。階段を見つけて彼女は興奮した。「じゃんけんしよ。」というわけで、ふたりで「ぐーりーこっ!」「ぱいなつぷるっ!」と階段を上った。きっと、いつも母親と、このようにして階段を上っているのだろう。電車が到着するたびに、たくさんの乗客が階段の上から降りてくるがそんなことはどうでもいい。みんな、この不思議な二人をちらっと見ては瞬時に忘れていった。彼女はいつも鍛えているからかじゃんけんに強く、先に階段を上っていった。たまに数え間違いをしていたのが子供らしいが。


この子は産まれた時からミステリアスな話に事欠かない。それを自分は「あの子は神に選ばれてるのや」などと親馬鹿ぶりを発揮していたが、実際の所は、ブスでもアホでもいいから健康でいてくれればそれでいい。そして胸を張って生きて欲しい。

彼女はひどいアレルギーを持っており、この飽食の時代に食べるものが無い。ので、あわやひえを食べる。文句も言わずに全部食べる。おいしそうに平らげてしまう。こっちが拍子抜けするくらい。逆に周りが彼女の食べているものを欲しがる。それは困る。そっちは他のものも食べられるだろうが、この子からそれを取り上げたら、この子は食べるものが無い。それでも彼女は、他の子にも与えようとする。もしかすると、本物の神かもしれない。

この日はそれから電車に乗り、公園に行った。蚊がやたらと多くて自分は蚊に刺されまくったが、不思議と彼女は一ヶ所も刺されなかった。ぶらんこに乗ってままごとをした。夕焼けが美しかった。


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い・よんひー [MAIL]

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