少女は虚ろな目をして部屋の隅に座り込んでいていつかその目に宿していた光はどこかに行ってしまって。今の俺は彼女に触れる資格なんて。抱き締めることも出来ないまま、そっと頭を撫でるだけ。肩がぴくりと動いて。今はただ、それだけ。空間に。困惑だけが浮いて残って。俺は、妥協を抱えて生きていくのだとなんとなく思った。