fin. - 2003年05月11日(日) 十連敗を以て終止符を打つ。 脳裏に浮かぶのは冷たい雨の降るあの日。 貴方に会った最後の日。 閑かな空間に佇む一組の男女と、 軽やかに立ち振る舞う貴方。 その切り取られた空間が 貴方に会える場所だった。 今ごろ尋ねるくらいなら、あのとき勇気が欲しかった。 目の前の額を取り払おうと願えば叶ったかもしれない。 けれども、美しいままに保っておきたくなるのは悪い癖で、 それはいつのときも臆病な自分の隠れ蓑にすぎなかった。 これからはもう貴方を探す必要はない。 ドアの向こうに淡い期待を抱くこともないし、 ため込んだ想いのやり場に困ることもない。 長い間心を砕いてきたものを失う寂しさの 隙間に紛れ込んだわずかな安堵感がひどく恨めしい。 渇いた心に雨が穿つ。 無情なあの日の雨が穿つ。 その冷たさだけを伝えるために。 BGM : 「楓」 / spitz
|
My追加 |