speak like a...child

 

 

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Morning Call - 2003年02月04日(火)

遠くでドアホンが鳴った気がして奥深くに落ち込んだ意識を引っぱり上げる。
おそるおそるドアを開けると優しい声がして、次いでアナタが姿を現した。
忘れ物をしたので朝7時半に取りに行くからドアノブに掛けておいてと言ったのはアナタで、
そんな物騒なことはできないから朝でもいいから遠慮なく起こせと言ったのは僕だった。
おかげで起きる気にもなったのだが、寝ぼけ眼の先に映る時計は7時を指している。

「あ、おはよう。つか、早くね?」
「えへへー。」
「あがってく? オレ寝てっけど。」
「うん、ちょっといい?」

抜け出たままで固まっている布団に再び潜り込む。
来客は狭い部屋に自分の座るスペースを見つけ本を広げる。
眠りに落ちそうになりながら時折彼女に話しかけた。

「試験?」
「そう。」
「楽勝でしょ。」
「そんなことないよー。」
「つか、何時に起きたの?」
「4時くらいかな。」
「マジで? オレ寝たの5時だよ。」
「あら、そうだったの、ゴメンねー。」
「ま、いいんだけどサ。」
「早起きして卒論やってたの。」
「もうすぐだっけ?」
「そうそう。」

ふと起きあがった拍子に引き寄せられるように背中を借りた。
明け方の、しかも起き掛けというのは最も精神的に脆く無防備な状態なのだろう。
多分僕はそれを知っていたが、それでも会うことをためらわなかったのだ。
惚れるのは自由だが好きになる前に依存してはいけないと自戒しつつも、
もたれかかる背中に幾ばくかの安堵感を覚える。
顔を見るだけで帰ってくれたらどんなに幸せな二度寝に就けただろう。
一日の幕開けとしてはいささか酷だったようだ。



BGM : 『You Had It Coming』 / Jeff Beck



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