Sleeping Beauty Says So... - 2003年01月26日(日) 過ぎた月日は1年半を超えていた。 知ることは怖かった。 何もできなかった。 いたづらに時が経つのを眺めていたと言えばそうかもしれない。 薄情だと罵られることも甘んじて受け入れよう。 リビングで驚いた表情をする貴方に僕らはもっと驚かされた。 「やばいよ、やばいよ。」 明るい声のトーンは変わらない。 「いいよ、いいよ。」 「良かよ、良かとよ。」 ピザを2pcs、みかんを2,3個たいらげる貴方の姿から目が離せなかった。 時折目が合うと満面の笑みをくれる。手を伸ばして握りあう。 これもどうぞ♪と勧める仕草があどけない。 「今日は来てくれてありがとう。」 必死に紡ぎだそうとする言葉に泣きそうになった。 こんなにも想いのつめこまれた言葉を僕は知らない。 貴方は生きている。 失った記憶を、場所を、時間を取り戻そうと必死で生きている。 握りしめたその手は温かく、愛らしい笑顔も昔のままに。 生の輝きはあまりに眩しくて、 魂の荒んだ僕は全身を射抜かれる思いだった。 こんなにも頑張って生きているのに、僕は何を怖がっていたのだろう。 浅ましくも記憶の彼方にしまいこもうとしていたのだろうか。 もう逃げはしない。 隣に座る、貴方の愛した人の名を呼ぶまで、僕も生きようと思う。
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