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田沢湖 - 2003年01月12日(日)

宿に着くころにはすっかり暗くなっていた。
遠くに見える灯りだけが微かに雪に反射して
深遠なる闇の世界を彩る。
辺りは完全な静寂に覆われて、
雪を踏みしめる音すら騒がしい。


同行した友人夫妻は大変仲睦まじく、
傍から眺めていると顔が綻んでしまう。
幸せが溢れすぎていて周りをも幸せにしてしまうのだ。

夫婦というものはよく分からない。
恋人の延長なのか。
それとも別の次元のものなのか。


田沢湖は相変わらずの曇りだった。
たまに太陽が顔を出したと思っても
すぐに引っ込んで吹雪にしてしまう。
本当に山の天気は気まぐれだ。

時折晴れ間が差したときに見える田沢湖は雄大だった。

肝心のボードはひたすら練習をしつつも
安比ほどの斜度はないので多少物足りない。
それよりも視界の悪さに閉口した。


早々に切り上げて向かった温泉は
近頃秘湯と称されえらく人気のあるところで、
乳白色のお湯が湧く露天風呂を堪能した。
晴れながらも舞い散る雪は温泉の白に吸い込まれてゆく。
底から湧く温泉の気泡がとてもくすぐったかった。


温泉を後にする頃、
太陽はだいぶ傾き、
田沢湖を黄金色に染めていた。
心を奪われんばかりの美しさだった。
思いがけない贈り物にしばし酔いしれる。


ありがとう。
いってらっしゃい。



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