陰 - 2001年11月07日(水) 近頃口癖がある。独り言だ。 『バカヤロウ、てめぇは出てくんなっ!』 普通に街を歩いてるとき、僕はこうつぶやくことが多い。 誰にも聞こえないほどの小さな声ではっきりと言い放つ。 僕の中にはもう一人の自分がいて、って言うとちょっと大げさだけど、 そいつは別に確固たる人格があるわけでもなく、ただ存在する。 僕の記憶のある一部分の所有者。 どんな記憶かというと、自分が過去に犯した罪とか失態とか とにかく思い出したくない記憶の集まり。 嫌なことが起きるたびにいつも彼に預けていたら 最初はほんの小さなものだったけど、 それはだんだんと膨らんで、 ついには時々顔を出すようになった。 そして僕の心を乱しにやってくる。 彼が振りまく僕の過去は目もあてられないほどのものだから 彼が出てくるだけで僕は沈んだ気分になり、暴れたくなり、死にたくなる。 最近はその周期が短くなって、追い返すのにも骨が折れるようになった。 まるで主人格の僕に居座るかのように。 彼はただ僕を苦しめて楽しんでいるだけ。 おそらく彼は出たがっているんじゃなくて 僕の中のどこかで彼を引っぱり出しているんだろう。おそらく。 だとすれば、それこそが僕の心の闇。 闇に蝕まれている感触がしてならない。 狂ってしまいそうな自分が鏡に映っている。
|
My追加 |