アキラさんとはいろいろありました。。。

   
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アキラさんとはいろいろありました。。。...各務優有

 

 

ちょっと、考えてみたこと - 2002年10月15日(火)













え〜・・・。唐突に何なのですが

「アルジャーノンに花束を」

というドラマをぼーっと見ておりまして。

ドラマがどうこうって言うんじゃないんですが

障害を持った子供を、捨てたお母さんが出て参りましてね

いしだあゆみさんが熱演していた訳なんですけど

いしださんは素晴らしい女優さんですから

そりゃもう、見事な感情表現をされておりました。



一般的に見たら、このような母親は

決して許されないものなのでしょう。

あたくしの愛息子、武灯さんは

障害を持って生まれた訳では御座いませんが

あたくし、こういう母親の気持ちが

分からないでも無いんですよ。



いえ、別に武灯さんを捨てようとか

手放そうとか、そういう訳では御座いません。




皆様ご存知の通り、あたくしは

未婚の母で御座居ます。




子供を育てるに当たって

奇麗事を言うのは簡単です。

只、それが上手く行かないのが

子育てというモノで・・・。




あたくしは、これでも一応

お馬鹿な短大を出ておりまして

保育士資格を持っている訳ですが

例え、理屈や理論を一通り勉強していても

子供を育て上げた母親には敵いません。




別に、育児理論なんぞ

欧米式であろうが、何だろうが

実行している親の自己満足に過ぎません。

子供が望んでいるとは限らない訳です。



あたくしは離婚した一人親とは違いますから

妊娠した時から既に戦いが始まっておりました。

あたくし自身は望む覚悟でおりましたが

産むまでは一人で立派に育てきろうと思っていても

目の当たりに現実を見ると、訳が違います。




母親は、妊娠した時から既に母親だなんて

よく言いますけどね

あたくしはそうは思いません。

それは幸せな状況で

子供を宿した人の言葉だと思います。




子供を授かって、産むだけなら

誰にだって出来ると思います。

母親になるというのは

自分の手で育てる日から始まるのが

本当なのではないでしょうか?




あたくしが武灯さんを産んだのは

二十歳の時で御座居ました。

二十歳と言えば、遊びたいさかりです。

友達は、呑みに行ったり

合コンをしたり、バイトしたり

彼氏を作ってデートしてみたり

あたくしには全く縁の無い事ばかりです。




あたくしはと言えば

睡眠時間もろくに取れず

おむつを替えて、乳を与え

夜泣きの酷い子供を毎日あやしていただけです。




一度は親にも見離されましたから

狭いアパートを借り

一人で子育てに明け暮れておりました。

産んで直ぐに、児童手当の申請はしましたから

家賃は何とか賄えました。

直ぐにでも働きたいのは山々でしたが

保育園には直ぐには入れてくれませんでしたし

託児所も首が座るまでは預かってくれませんでした。




それでも、子供を育てるのにはお金が必要です。

内職なども致しましたが、たいしたお金にはなりません。

仕方が無いので、友達が雇われママをしていた

パブで週に一度だけ働いておりました。

武灯さんは友達のご主人に預けておりました。




お客さんはついておりましたが

子供が居ては、週1日が限界でした。

優有ちゃんは、どうして週1しか居ないの?

と、お客さんに言われ

あたくしは意味も無く事情を話しました。

未婚の母で、食べるものも食べられないから
ママのご主人に子供を預けて
週に1回だけ働かせて貰ってるの。


すると、お客さんはあたくしに言いました。

俺、子供好きなんだ。
今度美味しい物買って行ってあげるから
遊びに行っても良い?


あたくしは、お客さんに連絡先を教えました。




数日後、お客さんはコンビニの袋を下げて

あたくしの家に参りました。

あたくしは彼にとても感謝しました。

今思えば、たかだか2000円程度の

買い物だったと思います。

それでも、あたくしには大金でしたから

涙が出るほど嬉しかったのです。




あたくしには、彼に返すものがありませんでした。

彼の目的も分かっておりましたから

あたくしは体で返しました。




そうやって、何人もの人に

食べるものを宛がって貰いました。

ほんの数ヶ月の話ですけどね・・・。





















今、この話を人に話すと

辛かっただろうと、よく言われます。

正直申し上げまして、何も辛くはありませんでした。




自分が餓死するのは構いませんが

あたくしが食べなければ、乳を与える事が出来ません。

脚を開けば食べ物がやって来る

只、それだけの事です。

真っ当に子育てをしている母親なら

何としてでも働き口を見つけて

ベビーシッターでも雇った事でしょう。




でも、あたくしは一人で産んだ自我が有り

子供を人に預けるというのは

出来るだけ避けたいと思っておりました。

此れが、親の自己満足というものです。




そもそも、二十歳の小娘が

一人で子供を育てて行くなど

精神的な負担があまりにも多く

余程出来の良い人間で無い限り、出来る筈が無いのです。




何度も武灯さんを

風呂桶に沈めてやろうかと思いました。

子供を殺して自分も死のうかとも思いました。

思うだけで、実行はしませんけどね

思っている時点で母親失格です。



















あたくしは、来月で29歳になります。

母親として8年の月日が経ちました。

今あたくしは、出来る事なら

武灯さんを産みなおしてあげたいとさえ思います。

今なら最初から

きちんと育てられるような気が致します。




親にも頭を下げて

友達にも、きちんと事情を話せば

助けてくれない事など無かったでしょう。

ええ、幸いあたくしは

良い友達に恵まれておりますから・・・。




でも、一人で育てなければと思う自我が

このような事になってしまいました。

全く、馬鹿な母親です。




















武灯さんの1ヶ月検診に行った時

あたくしは手作りの靴を履かせて行きました。

何分、お金が無かったものですから

武灯さんは百日参りも、お食い初めも行っておりません。

それでも、人前に出す時は何とかと思い

自分の手作りの帽子や手袋や涎掛けは避け

既製品を着せて参りました。

でも、靴ばかりはどうにもなりませんでした。

市販されているものは、あまりにも高すぎました。




あたくしが武灯さんに

靴を履かせて行った理由は只ひとつ

靴下を落とすと困るからです。

靴下は2足しか持っておりませんでした。

赤ちゃんの足は小さいですから

靴下など直ぐに抜けてしまします。

ですから、あたくしは靴を履かせて参りました。




隣に座っていたお母さんが

あら、この子可愛い。靴履いてるわ!

と、言いました。

あたくしは、恥ずかしくて仕方がありませんでした。




あたくしの手作りは道楽では無く

貧乏の賜物でしたから

その人に悟られたのだと思いました。

其処まであたくしの心は

荒んでいたので御座居ます。




その後、育児検診の最中

育児相談の保健婦さんに言われました。






















最近、貴方みたいに若い母親が多いのよ。

しかも一人身で勝手に産んだんでしょ?

親の気持ちなんか、全く考えちゃいないんだから!

貴方みたいな母親が

きちんと子供育てられる訳無いじゃない。

どうせ育てきれなくなって、親に泣きつくか

子供を捨てるのが目に見えてるわよ。



まぁ、捨てるよりはマシだから

今すぐ親にでも連絡してみたら?



せいぜい頑張りなさいね。






















あたくしは、寝る間も惜しんで内職して

子供に乳を与える為に

愛してもいない男に脚を開いて

死ぬ気で育てているというのに

世間の目はこんなものなのかと

呆然とするばかりでした。




仕方がありません。

勝手に産んだ、あたくしが悪いのですから・・・。



















あたくしは、虐待する親や

子供を殺して死にきれなかった

親の気持ちは理解出来ません。

子供を殺す位なら、自分が死んだ方がマシです。



只、止むに止まれず

子供を手放す親の気持ちは分かります。




自分が育てて行くよりも

他人が育てた方が幸せになれるのではないかと

思っているのだと思います。




母親として、精神が充実しておらず

自分が負けてしまったのでしょうね。




今現在、武灯さんに父親はおりませんが

最近よく、父親の話を致します。

もう8歳なのですから

少しでも理解できると思います。

武灯さんには、父親の悪口は決して言いません。

此れも母としての勤めです。




武灯さんは心の何処かで

自分が父親に捨てられた事を察しております。

それでも、あたくしは

お前は父親に愛されているんだと言い聞かせます。

此ればかりは、どうにもなりませんが

あたくしが愛情を持って接して行くしかありません。




ちょっと大変な事ではありますが

自分が産んだ以上は

責任持って最後まで愛して参ります。




















これでも、母親ですからね。



...



 

 

 

 

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