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2001年10月26日(金) ささえてる。

深夜、ふと気づいたとき、
携帯電話の向こうで声がした。

留守電のメッセージ。

思いっきり眠ってて気づかなかったけど、
それは、やすくんからのもの。
ビックリしてそのメッセージも聞かないで電話をかける。

「あ、起こしちゃった?今帰ってきたんだ」

時計はもう1時半をまわってる。
寝起きで意識もモウロウとしてたけど、
他愛もない一日のことを話したり、
つまらないギャグを笑い飛ばしたり、
今度はいつ会えるのかなんて話をしていた。

電話の向こうのやすくんは
いつもと変わらず、穏やかで、やさしかった。
ただ、
いつもと違うのは、
どちらかというと無口なやすくんが
自分から、その他愛のない話をしてきたこと。
…お酒も入ってるから、そのせいかも
そんなことを考えながら、話してた。

会話の間も睡魔が私を襲う。
とんちんかんな受け答えをして
やすくんに笑われた。

「明日も早いんだろ?今日はもう寝たら?
 遅くから電話して、ごめんな。
 明日起きたら、また電話して」

そんな言葉を、頭のどこかで受けとめて、
電話を切った。
体の半分以上が眠りに落ちたとき、
電話の切り際にやすくんの言った一言が
頭をかすめた。


「さっき入れた留守電、忘れてなかったら消して」

急にその言葉が気になって、携帯をまた手に取る。


「…何度も電話してごめん。


 …やっぱり、ここはとても遠い気がするよ。


 …今度いつこっちに来れますか?


 …

 …

 …

 …淋しいです。」



ぽつりぽつり、吐き出すように出てきた言葉。
さっきまでのやすくんの様子から想像つかない声。
着信履歴を見る。
時間をおいて何度も何度も電話してくれた
やすくんの跡が残っていた。

さっきまでのやすくんの声に
気づかなかったココロの裏の気持ちに
初めて気づいた。

他愛のない話だったけど、
私は途中で寝ちゃったけど、
私の声が
やすくんをささえてる。

そう思った瞬間だった。



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