++ワタシノココロ++
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深夜、ふと気づいたとき、 携帯電話の向こうで声がした。
留守電のメッセージ。
思いっきり眠ってて気づかなかったけど、 それは、やすくんからのもの。 ビックリしてそのメッセージも聞かないで電話をかける。
「あ、起こしちゃった?今帰ってきたんだ」
時計はもう1時半をまわってる。 寝起きで意識もモウロウとしてたけど、 他愛もない一日のことを話したり、 つまらないギャグを笑い飛ばしたり、 今度はいつ会えるのかなんて話をしていた。
電話の向こうのやすくんは いつもと変わらず、穏やかで、やさしかった。 ただ、 いつもと違うのは、 どちらかというと無口なやすくんが 自分から、その他愛のない話をしてきたこと。 …お酒も入ってるから、そのせいかも そんなことを考えながら、話してた。
会話の間も睡魔が私を襲う。 とんちんかんな受け答えをして やすくんに笑われた。
「明日も早いんだろ?今日はもう寝たら? 遅くから電話して、ごめんな。 明日起きたら、また電話して」
そんな言葉を、頭のどこかで受けとめて、 電話を切った。 体の半分以上が眠りに落ちたとき、 電話の切り際にやすくんの言った一言が 頭をかすめた。
「さっき入れた留守電、忘れてなかったら消して」
急にその言葉が気になって、携帯をまた手に取る。
「…何度も電話してごめん。
…やっぱり、ここはとても遠い気がするよ。
…今度いつこっちに来れますか?
…
…
…
…淋しいです。」
ぽつりぽつり、吐き出すように出てきた言葉。 さっきまでのやすくんの様子から想像つかない声。 着信履歴を見る。 時間をおいて何度も何度も電話してくれた やすくんの跡が残っていた。
さっきまでのやすくんの声に 気づかなかったココロの裏の気持ちに 初めて気づいた。
他愛のない話だったけど、 私は途中で寝ちゃったけど、 私の声が やすくんをささえてる。
そう思った瞬間だった。
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