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2001年09月13日(木) …鬼が笑うけど。

(昨日の続きになります)


「年末から2月いっぱいまで
 南紀白浜に行くことになった」




……………え?

一気に、気持ちが急降下する。



やすくんの働いているゴルフ場は、
降雪のため冬季クローズになるらしい。

「だから、冬場は近くの系列ホテルにヘルプに行くんだ」

って、実は伊豆からの異動が決まったときに聞いてた。
だけど、本社の方針が変わったとかで
系列内なら、全国どこでもヘルプに行くことになったらしい。
今年は、南紀白浜。

「南紀白浜って… やっぱり遠いじゃん」

あまりに突然のことで
何だか訳の分からない返事をしてしまう。

「え?今より近いでしょ?」

確かに、地図の上では和歌山県の方が近いけど。
乗り継ぎとか、交通の便で考えると
飛行機を使える今のところの方が時間的には近くなる。
料金的にも電車しか使えない和歌山の方が高くなる。

「まあ、実際には来年の話だから…」

なんて、明るく言ってくれるやすくん。
やすくんが思っていた以上に、
私がショックを受けてしまったことがわかったらしい。

「大丈夫だよ。ヘルプに行くんだって休みはあるんだし、
 いざとなったらどこか途中であえばいいんだしさ」
「たった2ヶ月じゃん。それに、正確には年末からだけど、
 来年の話だぞ。そんなにビックリしてたら、鬼が笑うよ」




やすくん、あのね。
南紀白浜だったからショックを受けたわけじゃないの。
いや、確かに
伊豆から転勤すること聞いた時よりショックだったけど。
あの時は、その前からその可能性がわかっていたからで、
今は突然だったからってのもあるんだけど。


私がショックを受けてるのは。


4月、私がそっちに行って一緒に生活できるようになっても、
やすくんが今の会社で働き続けている間はずっと、
何ヶ月かは離れて生活しなきゃ行けない、って言う事実。
それに気づいたからなんだよ。


そんなことが口をついて出そうになるけど、
言いようによっては、やすくんを傷つけることになると思って
急いで胸の奥にしまいこむ。


「だって…
 南紀白浜って、海がきれいじゃん。うらやましいよ」

更に訳の分からないことを口走って、
余計にやすくんを心配させてしまう。
私の中には、また不安な気持ちが胸一杯に膨らんでしまって
ものすごく孤独になる。



やすくんに早く会いたい。


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