若い日本人が、イラクで客死した。
『自分探し』に出掛けたのだという。 無気力とも憔悴とも諦観とも取れる表情だったが、
「日本にもう一度帰りたいです」言った。
彼は、退避勧告が出ている国に、出遭った人たちに繰り返し止められたにも関わらず、僅かな所持金で、恐らくは、観光目的で、入国した。
蛮勇である。 迂闊で、無謀としか言いようがない。 が、その罰として、死は重過ぎる。
彼は、イラクに対して、テロリストに対して、なにをしたわけではない。
彼に相応しい罰は、家族に泣きながら殴られ、マスコミのカメラのフラッシュを浴び、友達と行った居酒屋で、あのビデオの物真似で揶揄され、道で子供に、「あ、イラクのお兄ちゃんだー」と指差される程度のものだと思う。
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