2004年04月25日(日) |
まだ物語にしてはいけない。 |
歌舞伎の演目の多くは、かつて、実際に起きた事件が元になっているらしい。 耳目を集める事件があれば、すぐさまそれを「きわもの」と呼ばれる芝居にし、それは人口に膾炙したのだという。 現代に生きる我々は芸術に昇華されたそれを観る。
「コンクリート」という映画(公式サイトがあるがリンクしたくない)が、近々公開されるのだという。 『女子高生監禁殺人事件』を元にした映画であるらしい。 「事実を元にしたフィクション」なのだそうだ。 フィクションだから、抗議は受け付けません、と言うつもりなのだろうか。
ネットのあちこちで非難の声があがり、わたしがブックマークしているサイトの幾つかでも、烈火の如き、或いは絶対零度の罵倒が繰り広げられている。
わたしも言いたい。
この映画に出資した奴、企画・制作した奴、出演した奴、上映しようとしてる奴、観に行く奴、みんなまとめて恥を知れ。
あらゆる出来事は、記録となり、記憶となる。 どんな戦争であろうと、悲劇であろうと、凄惨な事件であろうと、時を経れば、削ぎ落とされ、装飾され、『物語』となる。 しかし、あの事件を「お話」にすべきではないと思う。 十五年も経ったとは思えないほど、あの事件の衝撃は鮮明である。
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