わたしは行かなかったのだが、ランディが『親分』と呼ぶ人が、華燭の典を迎えた。 独身主義と聞いていたのだが、めでたいことである。
高校時代に、バイトしていた店の経営者であるらしいのだが、今は数年に一度程度しか、お店にも行かないのに、披露宴に招待してくれた。 しかも、家族の席で、新郎の御母堂の隣だったらしい。
「あなたは結婚して何年?お子さんはまだ?実は、うちのお嫁さんのお腹には、もう赤ちゃんがいて、七月に生まれる予定なの。追い越しちゃったわねー。お宅も早くできるといいわねー」
と、幸せそうに言われたらしい。 夫婦で招待されなくて良かった。
で、帰ってきてランディが言うには、
「いやー、感無量だよー。結婚なんかしないって言ってたからさー。やっぱ、あの辺に住みてーなー。高校時代思い出したよ。あの頃は楽しかったなぁ。いやー、なんか、泣いちまったよー」
……ちなみに、ランディとわたしとの神社での結婚式では、祝詞をが終わり、神主さんに「以上で滞りなく終了しました。おめでとうございます。お幸せに」と言われたその瞬間にランディの携帯電話が鳴った。 しかも、用件は、「今日のメインレース、どうよ?」だったらしい。
「悪ぃ。今、結婚式やってんだ」
と言って切ったが、「おう。6流しで決まり。一応2枠も押さえとくけど」とか言わなかっただけまだマシと思うべきか。
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