酔っ払ったランディは、扱いに困る。 相手にしなければしないで拗ねるし、相手にしたらしたで粘着質に説教される。
昨晩は、W杯からこっち、わたしが俄かサッカーファンをやってることについて説教された。
「なんも判ってねー癖に、語るんじゃねーよ!W杯ってのはなー、国同士の威信をかけた戦争なんだよ、戦争。判るか?え?こら。俺なんかなー、高校時代はキーパーだったんだぞ。キーパー。おまえら素人とは違うんだよ。なーにが、カーンだ、イルハンだ。そういうミーハーが一番うぜーんだよ!」
では、わたしがW杯前の、「サッカーってなに?それ美味しい?」と言っていた5ヶ月前に戻った方がいいのか、というとそうでは無い、という。
「教えてやるから勉強しろよ。俺が今回のW杯で注目した選手、知りたいか?まだ若いけど、おまえみたいな素人と違って、次のドイツ大会で活躍しそうな奴をちゃんとチェックしてるんだ。知りたいだろう?」
と、いうのを無視して、寝ようとすると、足を揉んでくれるという。 お、ありがたい、と思っていると、足の甲を、ぐりぐりと押さえてくれた。 偏頭痛や眼精疲労に悩む方は、試しに、足の薬指と小指の間、付け根から指一本くらい足首寄りの辺りを自分で押してみていただきたい。 ここは、「臨泣」と呼ばれるツボであるらしく、わたしは、軽く揉むだけでかなり痛い。 撫でる程度に刺激を与えると、非常に気持ちよく眠れるのだ。
……そこを、ランディは、
「い、いたたたたた〜〜!やーめーてーー!」
と叫んでも、ずーっと思い切りぐりぐりぐりぐりとやってくださった。
今朝見たら、ランディの親指の形の痣が出来ていた。 ……酔っ払いなんか嫌いだ。
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