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2002年09月05日(木) 骨董市

数日前、ふらりと骨董市に出掛けてみた。

古いものが特別好きというわけではない。
寧ろ、物に対する思い入れがさほどない方なので、古かろうと、新しかろうと構わない。
安くて珍しいものがあればいいな、と思って行ったのである。

そこで、なにに使うものなのか知らないが、黒い鉄製の猿を見つけた。
長い手が、鉤になっていて、掛けられるようになっている。
単なる飾りなのか、それとも他に用途があるのか判らないが、気になったので値段を訊いてみた。

「みっつで千円」

「ひとつでは?」

「四百円」

わたしは、何故か作戦さんには『おっとこまえ』と言われるのだが、買い物時は優柔不断になる。
しかも、この猿たち、よく見ると、ひとつひとつ表情が違っている。
その場では決められず、館内を一回りして戻ってくると、猿は、ふたつしか残っていなかった。

「おねーさん、もう殆ど売れちゃって、こんだけしか残ってないよ」

「あー、じゃ、こっち頂戴」

その後、更に、その辺をふらついて、もう一度前を通ると、あとひとつしか残ってないはずの猿が、山積みになっていた。

……まあ、残り少なかろうが、たくさん残ってようが、気に入ったものだから買ったし、後悔するような値段でもないが……

骨董初心者が受ける洗礼のひとつなのかもしれない、と思うと、面白かった。


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