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2001年10月30日(火) 今日の天然娘

彼女の言動に関しては驚くまいと思っていたのだが……
またやってくれた。

休憩時間や、仕事を終えた後には、わたし以外は、休憩室で煙草を一服する人が多い。
何故か、喫煙派が圧倒的に多いので、却って非喫煙派の方が肩身が狭いくらいなのだが……まあ、それはいい。
天然娘がまだ十九であるにも関わらず、煙草を喫うのも、まあ、よしとしよう。
わたしは、警察官でも、親でも、彼氏でもないのだから。

「今日、遊びに行くんで、着替えてもいいですか?」

と、煙草を喫いながら言うので、ああ、いいよ。それくらいの間なら待っていてあげるよ、と応えた。
倉庫街とは、こういう場所をいうのだろう、というくらい、周囲には倉庫しかなく、ひと気の無いところで仕事をしているので、暗くなってからのひとり歩きは危険なのである。
しかし、見かけによらずおっとりした彼女が煙草を喫い終わる頃には、喫煙組も含めて、帰り支度が出来てしまった。
それで、彼女は、「あ、やっぱりいいです。帰りましょう」と言って席を立ち、倉庫の外に出た。

が、もうひとりの男性が、来ない。
彼女が、

「ちょっと着替えてきます」

と、いうので、休憩室に戻るのかと思ったら、会社の門の傍で、いきなり脱ぎはじめてしまった。
こ、こらっ。

「あ、大丈夫です。トレーナー脱いで、ジーンズからスカートに履き替えるだけですから」

だから、それが問題だろう。
確かに、寂しくて人通りは少ないが、車は通るし、一緒に帰ることになってる男性はいつ来るかわからんだろう。
それに、まだ秋とはいえ、寒風吹き荒ぶ中、なんで外で着替えるんじゃ。

とりあえず、彼女が着替えてる前に立って、だれも来ないか見張る。
暫くして、

「あ、もういいですー。ありがとうございました」

振り返ると、紫のセーターに、ミニスカート姿になって、腰にベルトを巻いているところだった。
それから、持っていた紙袋から更にブーツを出してスニーカーと履き替えている。

きっちり着替え終わるまで、だれも来なかったが……いいのか。これで。

彼女の行動が理解できないのは、ジェネレイション・ギャップじゃないよなぁ。絶対。


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