としょかん日記
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なんだか最近良い具合で本が読めているのでここらでまとめでも。
「一応の推定」広川純 多額の保険金がかかっている老人が駅のホームで転落死。難病の孫を思っての自殺かそれとも事故か。定年間際の保険調査員村越が探り当てた真実とは? 松本清張賞受賞のいわゆる社会派ミステリー。いや落ち着いて読めました。良くも悪くも。しかし心が枯れてきたのか、こういうのを読むと「この真相にたどり着くまでこのページ数を使う意味ある?下手しりゃ短編ですむことじゃないの?」と思ってしまう自分が嫌。 とはいえやっぱりいい意味で落ち着いて読めるというのがよろしいのではないでしょうか。粗はないのだが輝きもないといった優等生的なミステリ。いやこれは褒め言葉で。
「パパとムスメの七日間」五十嵐貴久 列車事故がきっかけでよりによってパパと体が入れ替わってしまった!大事な先輩とのデートがあるのにいったいどうなるの? サラリーマンのパパと女子高生の娘の体が入れ替わってしまうというべたな設定。パパが学校に行くのはまだ何とかなるとしてムスメが会社に行ってもそりゃ無理だろ!と思うのだが、パパの「サラリーマンとはこういうものだ」という言い回しになんだか男って何のために働いているのだ、ともしみじみ思う。 でもやっぱり設定がべた。パパの会社は化粧品の会社でターゲットを高校生に絞った商品を開発するプロジェクトのリーダーだっていうから、あー入れ替わったら娘が活躍するのね、となっちゃうよね。まー、最後に「なるほど、そうきたか」と思う事件も起きるけど、最後までべたを貫き通している。 ただそれがだめかというとそうでもない。そうでもないのはわたしが実際にムスメ二人の父親だからだろうかと思うと読書って環境次第で評価が変わるもんだという結論にたどり着く。 なんだかんだ言っても意外とべたべたな設定が好きな自分としては、ましてやムスメもちとしては結構好きだったりする。困ったもんだ。
「誘拐の誤差」戸梶圭太 もーいきなりだまされた。だって帯の惹句には「誘拐された子どもの死体が見つかった。しかし犯人からは身代金のメールが届いた。いったい犯人の意図は何?」見たいなことが書いてあったんですよ。 「えー戸梶ってそんな小説も書けるの?」なんて期待していたらいつもの戸梶の小説でした。帯の話本編とそんなに関わりないだろ!というのが本音です。 いや、でも戸梶の書く小説はおもしろいね。人間の本質を書いているんだけど、おもしろいね。こんなに壊れた人間ばかりの世界なんて嫌だよと思うけど、実際こんな人間ばかりなのではないでしょうか。あーやだやだ。 久しぶりに一気読みした小説でした。でも残念ながらまったくもってミステリーとは正反対にある小説なのです。結構予約が入っていただけに、みんな騙されたんだろうな、と思うと戸梶の心配をしてしまう図書館員がここにいます。
読み返しただけど、感想にも批評にもなってないこんな文でいいもん?と思った。ただそれだけ。
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