空を見上げて
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父が去年の11月8日に亡くなって、もう半年が過ぎた。
かなり前から、一人では歩けなかったし、
家にいるときは、ほとんど寝たきりだった。
それを見て、
父の性格をよく知る私は、
「今、生きていることが父の意志ではない」と、いつも思っていた。
ほとんどを夢の中で過ごし、一人では何もできない。
延命などもっての外と言っていた父。
もう孫の事もわからなくなり、私のことも分かっていたかどうか・・・。
10年近くこんな感じを行ったり来りだった。
しっかりしているうちは、ずっと母の悪口を言っていた。
言われるような人なのだけどね。
亡くなる3日前、病室で正気の顔で、私にサヨナラの代わりに片手を上げた。
それが本当にサヨナラだった。
後は、意識もほとんどなく、病院から電話がきて駆けつけた時には、
もう顔にガーゼが掛けられていた。
声を出して泣く私に、母が「もりー、仕方ないよ」と何度も言った。
そこに遅れて入ってきた兄のお嫁さんが、
何故か父に覆いかぶさるように「おじいちゃん!」と大声で泣いたのを見て、
私はすっかり涙が止まった。
彼女は、一度だって父を病院に連れてきた事もないし、
何かをしてくれたことだってなかったからだ。
でも、彼女は看護師なので、父の顔のガーゼをとり、
口の中の詰め物を入れなおし、少しでもきれいに見えるようにした。
それを見た母が、感激して何度もお礼を言っていた。
私は、あれだけ「生きているのが可哀そうと思ってしまう」と言っていたのに、
いざ本当に死んでしまうと、体の半分が無くなった感覚で、
母とも血がつながっているのに、
「もう、私の血のつながった人は、子供たちしか居ないんだ」と
強く思ってしまった。
父が亡くなって、しばらく過ぎたころ、
本当に突然、思ってもみなかったのに(まぁ、予告があるなんてないけど・・・)、
父の夢を見た。
夢に出てきた父は、元気だった時の姿で、
みんなで父の話をしている実家のリビングにさっと来て座り、
靴下をはきながら「漬物たりないから、もっと上げてくれ」とだけ言った。
目が覚めて、大笑いしてしまった。
父は、糖尿病で食べ物を制限していた。
亡くなった後は、お膳を毎日あげていたけれど、
確かに、お膳の器は小さく漬物もほんの少ししかあげてなかった。
漬物は、父の大好物なのだ(笑)
夢なのに、元気な父を見て安心した。
心から良かったと思った。
そして、夢の通りに漬物を多めにあげて、
お参りしてます。
半年経ったら、もう元気な父しか思い出せない。
そのために父は夢に出てきたのかな?
半年かけて、もう最後の寝たきりの父を思い出すことはなくなった。
私も、元気になりました。
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