先週、私は 今年の締めくくりに相応しいワークショップに参加した。
ワークは三日間あったのだが、初日に仲間三人で飲みに行った。
仕事のことでかなり底に落ちていた私に 仲間の一人がポツポツと話をしてくれた。
彼は、有名銀行を退職して 生保業界に入った。 それまでの取引先もあったので、彼なりに勝算をもって転職したのだが いかんせん ぜんぜん売れなかったらしい。
さすがに 何ヶ月も1件も売れないと焦ってきて、「売り」に走っていた。 とにかく買ってもらおうと必死だった。 自分を信じて ついてきてくれた妻、まだ小さい2人の子供、 ここで諦めるわけにはないかない と彼は必死で かつての取引先をまわった。
そこで、過去に取引のあったある中小企業の社長が 「おまえ、すぐトイレに行って来い。行って 鏡で自分の顔を見て来い」 といったらしい。
何のことかと訝りつつ、自分の顔を見た。何もわからなかった。
「すみません、社長。 わかりません」と戻ると、その社長は 「おまえ・・・・そこまで落ちたか・・・」と呟いた。
彼の眉間には 深い深いしわが刻まれていた。この数ヶ月でできた縦皺だった。
それを指摘されて、彼ははじめて自分がどんな顔で訪問していたか気付いたという。 それから。
訪問してもなかなかドアをあけてくれない先もある、けんもほろろな対応も経験する。 それでも、彼は満面の笑みで「こんにちは!」と挨拶を心がけた。
売上げゼロが半年続いて そして足が底を蹴った。
その年の新人賞を獲得し、生保業界全体の上位6%に与えられるMVPを受賞したという。 実質半年で それだけの成果をあげたわけだ。
それもこれも、あのかつての取引先の社長が 自分の顔 鏡でみてこい!と 一喝してくれたことが気づきのきっかけだったから、 彼は その社長のところにお礼にでかけた。
受賞の話をきいて 社長は嬉しそうに、 そうか そうか それは よかったなー。じゃお祝いしないとな。 ところで おまえ 何売ってんだ?
何の営業マンかも社長はしらず説教していたらしい(笑) 後日談で お祝いに保険にはいってくれたとか。
そんな話を 落ち込んでた私にしてくれた彼の笑顔は、最高に素敵な笑顔だった。
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