目口覚書
■目口覚書■
ごめんください
どちらさまですか
お入りください ありがとう

2002年05月19日(日) 代官山から続き

さて、カフェでもいろんな社内の人達 初対面の人も交えてお喋り。
かつて同じ部署にいた女性Aさんが「隣いいですかー?」と座ってきた。

他愛もない話しをしてたんですが 私の前には聴覚障害の人。
そのお隣には 視覚障害のZさん。

Aさんがわざわざ私の隣に座ってきたのは そのせいだったのか と。
彼女は手話ができる。
かつて研修業務を手伝ってもらってた時も、聴覚障害の新入社員に向けて
手話通訳をしてくれたし、毎朝の朝礼も彼女は横で指で喋ってくれていた。

私は意識して口を大きくゆっくり動かしていたんだが
ついついお喋りに興じてしまい おいてけぼりを食わせていたかもしれない。
会話のひとつひとつを 流れるような手話で表すAさん。

私にできることは 皆に接するのと同じようにすることだけだったが
そう意識すること自体 同じじゃないのだ。

さて解散の時刻になって 三々五々別れることとなる。
私は時間もあるし 渋谷や代官山や あわよくば表参道も散策すっぺかなー
と思ってたんだけど、Zさんが偶然私んちの最寄駅まで今日行くと言う。

翌日駅前のセンターで勉強会があるとかで、その駅近辺に宿をとったんだそうな。

彼女は会社の総務部で 社員の福利厚生業務に携わる。
リラックスルームでマッサージ(30分数百円!!)を主にしている人。

もともと神戸本社勤務だった彼女の白衣姿は、同じ社屋で何度も見かけていた。
今までお話する機会がなかったのだが、お互い関東に嫁に来て、
再入社したところなど境遇がなかなか似ている。

「その駅なら 私も帰る先だけど、渋谷をぶらっとしてからでいいなら
ご一緒しますぜ?」
そう提案してみると 是非にという返答。

かくして彼女とてくてくと渋谷駅まで向かう。

さて視覚障害の彼女の誘導を どうしていいのかよくわかんない。
手をひっぱるのは かえってわかりずらいとか
腕につかまってもらうのがいいとかは聞き覚えがっても ぎこちない。
なにげに手を握って歩きだした。

「車がきたから左によりますねー」
「段差がもうすぐありますよー」いいつつ手を引いたりする。
なんか もっとわかりやすく言えないかね自分 と思いつつ。

すると彼女、バックにしまっていた袋を手にして
「白い杖 ついていいですか?」と聞いてきた。
そんなこと 遠慮してたの!?
ってか気がつかないでいたよー。

「どうぞどうぞ」って促して 2人でマークシティに。
その頃には ごく自然に彼女は私の右手に立ち 右腕にそっとつかまる。

ところが方向オンチの私ったら エスカレーターを上ったり下りたり
もう迷いっぱなし。
ごめんなさいごめんなさい と謝りながら
1FとBFにあるうちの店舗を何軒か見学。
きっとあきれてただろうに、彼女はニコニコ笑っている。

それにしても人が多いし 道狭い。
こんな場所から彼女は1人で帰ろうとしてたのか。

帰路は山の手線に乗って着席。
初めてお話する二人なのに、とっても自然にいろんな話題が進む。
会社のこと、洋服のこと、新生活のこと・・・

あぁこの人は人の気持ちにそって ナチュラルに
会話のキャッチボールのできる人だなと感じる。
もしかしたら視覚が充分に使えない分 他の感覚が澄んでいて
わたしの不出来具合もお見通しかな。
きっと誘導の仕方に、その人のキャラクターとか優しさとか現れてるんだろな。

と、突然車内放送。
田町で人身事故があったとかで 電車が動かない。
彼女も別に急がないとかいうし 地下鉄に乗りかえるのもいい加減
お互い疲れそうなので 高田馬場に止まったままの車両内でまたまた
お喋り三昧♪30分ほど(^^)

障害のある人に わざとその障害を避けた話題に終始一貫したりするのは
かえって差別の気がするし、かといって 「見えないのに頑張っているね」
と励ますのも、「あの人不自由なのに偉いね」と陰で賞賛するのも、
ちょっと違う気がするし、
それが当り前できている人にとっては何と応えていいかわからんだろう。

勤務社屋が違うから なかなか会う機会は少ないだろうけど
次回会えたらまた笑顔で挨拶できそうな知合いができて嬉しい日だった。

そしてとてもJRのホームと車両の隙間が気になった日の出来事でした。



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