確かに。
私は、あの日、泥酔していた。
生のままのアーリータイムスなんか飲むからだ。
いつも通り、私は970kmほど離れた場所に居る貴方に電話をする。
ところが、電話をした事は覚えていても
何を話したか、何時に眠ったか、本当に覚えていない。
翌朝青ざめる…
着信履歴を見ると貴方と話した事が夢ではなかったことが解ったから。
だから、朝からメールで貴方に謝る私がいた。
昨日、泥酔して何を話したか覚えていません。
もしも、失礼な事を言っていたら、本当にごめんなさい。
自己嫌悪の塊になって、真夜中に電話をした。
謝りたい
それは口実。
君と話したかっただけだ。
私ね、昨日、何をいったか覚えてないのよ。
メールで、そう告げたら貴方は「苦笑い」という言葉を使ったから
貴方に酷い言葉を言ったのかと思って、一日悩んでいた。
というより…昨日まで、ずっとずっと。
七夕の夜に、私達はお互いにお互いの気持ちを伝えあったけど
貴方は、その前から私の気持ちに気付いている様子だった。
貴方は6月の終わりに、
8月の終わりにこちらに来る事を私に教えてくれていた。
だから、
コチラの事や、天候、
こちらに到着して、札幌に来るときどれぐらいに到着するかとか
兎に角、話すことは尽きなかった。
札幌の最初の夜に私も同じ宿に部屋をとって一緒に飲む約束もしていた。
どーせなら隣の部屋にしましょうよぅ。
こだわる私に貴方は旅行代理店に働きかけてくれて
めでたくお隣同士になった…
という話をしたような、しなかったような
七夕の夜にお互いの気持ちを伝え合って
初めて会うのは、こちらの七夕の夜にしようってあなたは言ってくれた。
そうして、もうすぐ南の空から貴方がやってくる
そんなある日、私があまりにもあの夜の事をこだわるから
貴方は教えてくれた。
それは、私が知らない私。
酒による
表面上の[私]の消失。無意識下の[私]の出現。
それは、貴方は知るけれども、私の知り得ない私。
すごく素直な娘、私の知らない私というのは。
私はこう見えて
心の中は、物凄く波風を嫌い静かな青い湖を好む。
日々の生活すら、それを望んでいた。
静かに、ただ静かに。
それが優しさにつながるかは全く解らない。
だけど、
私はその湖底に、
燃え続けている火のようなものがあるのを知っていたけど隠してきた。
その火が湖の底から出てしまったら
私自身が焼け死ぬとずっとずっと信じている。
火は、使い方によっては温かいけれども
使い方を誤ったら、命が消える。
酒によって飲まれる事は、最近ずっとなかったのだけれども
怒りや悲しみに、我を忘れたり
本当に気を許した人の前だけに出てくる
「火のような私」
彼女が、あの人に「私が気付かないフリをしていた気持ち」を
おそらく告げたのだろうと思った。
遠く、遠くに離れすぎていて
いつかきっと辛くなる日が来る。
それについては、貴方も考えていたとあとから聞いたけれども
だから、私はこの湖に
この感情ごとあの人への気持ちを沈めてしまおうと思っていた。
でも、本当の私は厭だったみたいだね。
「私に触れてくれませんか?」
素の私は、そんな事、言えたもんじゃない。
昨日の電話で言ってみたけれども、照れがあって
きっと、あの日の私とは全然違ったでしょう?
きっとね、七夕の夜に判ると思います。
七夕の日の夜明けに、
言葉に出来ない想いがきっと体温で判る。
私ね。
そう信じていますよ
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