ソ ラ イ ロ ノ コ コ ロ 。(短編モノガタリ)


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私は人生に疲れていた。会社も妻も娘さえも冷たい。
なんという典型的な会社員だろう…惨めだ。
無邪気な子供よりも生意気なガキが増え、
私に追い討ちをかけるようにバカにする。
「あぁ…疲れた……」
面倒くさかった。もう歩くことさえもが。
私はいつの間に公園にいたのか…
ベンチに座り、空を仰いでいた一一。


「おかあさん!」
驚いた。どうやらウトウトしていたらしい…。
“おかあさん”と叫んだのは、
公園に遊びに来ていた女の子だったようだ。
私は親子の会話に耳を傾けた。…暇だったからである。


「ねぇ、おかあさん!まきじゃく持ってなぁい?」
なんだ、この子は…公園で何を計るというのだろう…
「なぁに、葵。何に使いたいの?」
もっともな質問だ…というか、私も気になるところである。
「あたしねー、あのお空をはかりたいっ!!」
なんと無謀な…しかし、無邪気でいいものだ…。
「葵?あの空は巻き尺では測れないわ。」
「なんでぇ…?」
おぉ、おぉ…はっきり言っちまう母親だなぁ…泣きそうじゃないか…。
「葵。この空のようになりなさい。」
「…??そらぁ?なんでぇ?」
私と子供は、疑問符でいっぱいだっただろう…
そして私は親子の会話に聞き入っていった一一。


「葵。この空は巻き尺などでは測れないわ。
 だってこんなにも広いでしょう?
 この空のように、葵の心も広くありなさい。誰にも図り知れない程に、
 心広くありなさい。そしてこの空のような色でありなさい。」
「いろぉ…??」
「お母さん、空が好きよ。どんな表情の空も好き。
 葵の心も、豊かであってほしいわ。そして澄んだ色であってほしい。」
「あおい、よくわかんないよ…」
「それでいいのよ。それが澄んでいるということよ。」


母親の話は、正直私にも難しいくらいだった。
それは、私の心が澄んでいるからではなく、
濁ってしまっているからであろう。
しかしどこか心は温かく、
この空を見ながら、歩いていたい気分だった。
周りが冷たいのではない…私が冷めていたのだ一一

そうして私は、公園を歩き出していた。

コ ノ ソ ラ ノ シ タ デ 。




-------------- コ ウ イ ウ コ ト --------------

参加している『月刊やかん』のお題によるものです。

今月のお題は『巻き尺』ということで、

いくつか詩歌、考えたのですが、全てまとまりきりませんでした;

苦悩の末のショボ短編モノガタリです…(汗)

詩歌のペィジに載せるなチックですが、まぁいーぢゃん。って事で(爆)


えー、初めて書きました。非常に恥ずかしいデス。

もうきっと書きません…

ですから至らない点はお許し下さい(^_^;)






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2002年05月16日(木)

□■白昼夢■□ / 透花

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