雑記

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2001年11月02日(金) きゃ〜ごきぶりぃ〜(>_<)

夜、部屋で飯を食ってだらぁっとしてる時、そいつはやってきた。

部屋の壁沿い、ダンボールとPowerBookの僅かな隙間に、大胆不敵にもそいつは悠然と歩いていやがる。まだ小型で赤みのある茶色はまだ成体になっていないのだろう。この瞬間に部屋の主が本能的に迎撃体勢に入っていることをヤツは気付いていないのか。私は、大きく動いてヤツに気付かれることの無い様にあくまで静かに視線をそらさず、傍らに常備している電動のベレッタに手をのばした。
いや、気付いていたのかも知れない。瞬間と言えど、先に既に互いの勝負の行方を悟っていたのはヤツの方かも知れない。今思えばそんな気がする。

視線上の標的ににサイトが重なるより早く火を噴く銃口。ようやく異常事態に気付いた家内の叫び声。初弾は右後ろ足の付け根に命中。直撃させ床を汚すことに多少の躊躇はあったが、身体の一部になった銃は、いや銃の一部になってしまっている私は無意識に引き金をひいてしまう。あんなにでかい的だ。外す筈が無い。2発目は左前方に命中、つまり頭部の半分を吹っ飛ばした。
これで終りだ・・・念を込め最後の一撃を放つ。が、それは発射されなかった。電池切れでポンプが動かない。銃口からは力なくプラスチック製の弾丸がこぼれた。こんな時に・・・!!。ヤツはまだ完全に停止していない。私は銃を構えた右手でティッシュを掴みそのままやつに手をかけた。薄いティッシュの中で生命の最期の動きを感じながら、最大限の敬意を以って私はその手を強く握りしめた。

・・・小型のものしか見ないな。おそらくこの部屋のどこかで成体が残していった卵が残っているに違いない。バッテリーを交換し、バレルの掃除をする。普段にも増して感覚が鋭敏になっているのが判る。視界の隅で何かが動けば反応し、対象を確認して対応を判断する。テレビの動きに合わせて反射する何かであったり、タバコの煙だったり。しかし今日は2匹目がやってきた。

さっきとは違う壁際。黒い袋の脇で走ってやがる。もちろん私も口を開けて見ていた訳ではなく、即座に装填されていた全弾を打ち尽くす。もはや1対1の戦いなら十分に対応できる確信があった。モータ、ポンプの作動音、兆弾、全ては一瞬で終わった。

私は今日もこの家を守るために弾丸を切らしてはならない。


次郎吉 |MAILHomePage