潔 ノ 森

2007年05月20日(日)

覚書
(森はいのち エコロジーと生存権  宮脇昭 著 より)

  �掘〕�想的な自然環境を考える
 4 エコロジーの考え方
□ 原始時代以来の自然観から脱却すべきとき

 自然に対しての見方・考え方はきわめて多様である。ちょうど私たちの顔が一人一人異なるように、健全な人間の知性や感性や理性もきわめて多彩であり多様であると言えそうである。したがって、すべての人がそれぞれ自分独自の体験・知識あるいは時の流行やそれぞれの立場の人々の発言によって多少の影響を受けながらも、固有の自然観・環境観をもっていなければならないし、持っているはずである。そして、これらの自然観・環境観はすべてまちがいではないはずである。
 ところで、人類は地球上に他の生物とは異なった生き方をしはじめて三百万年、文明あるいは文化的な生活になじみはじめて三万年の時間をかけている。その間、自然は敵であり、自然は邪魔物であり、いかに自然と対決し征服して、自分だけが、自分の家族・仲間・集団だけがよりよい生活をするかということで必死の努力をしてきた。この人類の原始時代からの長い間の生きのびるために身にしみついた考え方、即ち自然との対決思想、自然は邪魔物であると同時にいかに自然を利用するかという人間サイドからの自然についての考え方は、今日なお本性になるほど根強く、私たち一人ひとりの生き方の基本となっている。
 それに対して、今日では、従来の自然との対決・征服思想に基づく生き方を完全に変革して、自然と共存して生きてゆくことが私たち人類が生きのびる基本であるという主張がなされはじめている。しかし、そのように頭でわかったとしても、あるいはそれが科学的に証明されても、一人ひとりの全身全霊に刻みこまれ、本性にまで近づいた形で心の底から当然の姿として受け入れられ、行動に示されるようになるまでにはまだまだ時間がかかるであろう。 


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