青森駅周辺散策。 公園でハネトの練習を試みる。が、虚しいことに気づく。
ハネト衣装を着付けてもらい、ドキドキしながら鏡の前に立つ。 我ながら良く似合っていた。
善知鳥神社にて、無事踊り通せるよう願をかける。 一休みし、花笠を着けてから神社を出る。 ショーウィンドウに映る自分の姿に、「憑依」という文字を思い浮べる。
青年会議所の山車へ。開始の花火の音が鳴る。
お囃子に合わせて歩きはじめると、身体は自然に跳ねた。 体の内部が異常に熱くなるのを感じる(「血が沸き立つ」という言葉を初めて実感)。 発したことのない野太い声が腹から出てくる。
何人かのカメラマンが路上に乱入し、ぼくを撮っていった。 東京から来たという観光客から「記念に一緒に跳ねてください!」と話しかけられる。ぼくを土地っ子と勘違いしたらしい。「千葉から来たんですが…」と言ったらビックリされた。 調子に乗って踊っていると脹脛とアキレス腱が痛くなり、もはやこれまでか…と弱気になる。が、この後に面白い経験をすることになる。
そのまま無理を続けて跳ねていると突然、フッと足からチカラが抜けるのを感じた。股関節から下が全く脱力しているにも関らず、身体は宙に浮く。 ただ臍の下あたりを捻るだけで足は地面を蹴った。 身を翻す琉金のように、暫しの間この浮遊感に酔い痴れる…。
自分の影を見下ろすと、鬼が跳ねていた。
|