カラジ風味

2004年03月30日(火) 風評

一本のクバの木が北側の庭の隅にある
いつからそこにあるかは定かでないが
幾度かの北風に耐えたように南に傾いた姿で踏ん張っている
背丈は三メートルはあるだろうか
幹周りは私が両腕で抱えるにはムリがある
葉は一メートルはあろうか扇を数枚広げた様に上部にある
十メートル越える者があることから彼女は若いといえる

今年になって数個の房を付けていた
やがて黄金色の花になり鈴なりの実をつけた
初めてのことに驚きこれからの事を思うと不安でいっぱいになる
いつしか子供達は彼女の下を離れ旅に出た
彼女はヤシの仲間らしく子供達に言っていた
雨が降り体が浮くと水と共に川に行き海を越えなさい
狭い庭の出来事である
子供達はいつまでも眼下に留まっている

如何なる場所でも子供達はたくましく生きていくだろう
日の光を欲しがる彼等を見てどんな思いになるだろう
大きな葉を思い切り広げる事ができるだろうか

私は勝手に彼等を集め南側の広い庭に解き放った


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