あのね、あのね 工場でダダダッッッと縫ってんじゃないのよ。 うちにはババババーーッとやるわた詰め機もないのよ。 ベアの「ほっぺ」とか「おデコ」とかも 手でわた詰めして表現してる訳よ。 一体ずつ お客さまのベビーちゃんの写真を でれでれ見つめながら縫ってる訳よ。
で、「うちの子にそっくりだわ、アリガト♪」 って言われて またデレデレする私なのよ。
ベビーメモリアルベアは、ご依頼主さまとの打ち合わせがモノを言う。 どれも同じ顔のベアなんて作る意味ない。 赤ちゃんは ひとりずつ違うんだから。 ひとりずつしかいないんだから。
例えば天使になったベビーちゃんの依頼を受けて 大切な大切なお話を聞いたら、 心してお作りさせて頂きますと返事を書くのが人間じゃないのか?
実際、私が頂くベビーベアご注文の4割近くは 天に帰って行った赤ちゃんの、ママからなのだ。 理由はわからない。 ただ 「大量生産のベビーベアとは違う顔をしてるから」 と仰る方が多い。
そう言って頂けるのはとてつもなく嬉しい。 ご依頼のママさんは、ぽつりぽつりと 赤ちゃんとの思い出を 聞かせてくれたりする。 そういうお話を ぜーーんぶベアに詰め込みたいと思う。
そしてお届けした後、届く感想・・ 「ベアの目に、私が映っています。 子供が本当に私を見てくれてるようです」 「最初は注文に反対していた夫が泣いて、ベアを抱っこして喜んでいます」 と・・。
特にベビーのテディベアは"商品"という言葉から遠い所にいると思う。 ママの所に帰る子を作り出すという大役。 お客さまが背負った人生の荷物を 興味本位で荷解きして覗く趣味は毛頭ないが、 聞いてくれる?と言われたら伺うというスタンスで ずっとやってきた。
それがベアの表情に知らず知らず反映されて 私の作品を形成しているのかも知れない。 テディベアの奥深い魅力である。
「そういう雑務は極力、カットしないと生産性は望めない」
雑務か・・ "そういう雑務"を抜きにしたら、私のベアは産まれません。 発注書を受け取りゃ、代金は貰ったも同然、 脇目もふらずに急いで作って納品します。てか。
クソ食らえ(笑)
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