こ こ ろ も ち 。

2005年04月16日(土) やさしいひと

ビールを買い足しに出ました。
21時、住宅街もまだ起きていて
あちこち明るく、人通りもぱらぱらとありました。
さっき ちらっと降った雨の匂いが残っており
やさしいひとを 思い出しました。

とある飲み屋の、ママ。
名刺には"スナック"とありましたっけ。
新宿二丁目「仲通り」からちょっと入った所にあったバーです。
いわゆるゲイバーというんでしょうか。
でも、ショーがあるでもなく
カウンター5〜6席、テーブルがひとつ。すずめママと、たまにお手伝いのきんぎょちゃんと とんぼちゃん。


会社で
OLを私なりに演じていました、でも疲れてました。
誰だってそうだよね。
ストレスのない仕事なんてあり得ないもんね。

会社の同僚とも いまいち心を開けず、
カラもネコもかぶってOLやってました。
家じゃなく、片付けのいらない外で飲みたいなー。ってのが単純な理由。
でも繁華街を歩くと
ヨッパライに腕をつかまれたり、恐いです。
そうだ 女に興味のない人の街なら、安心かも。
で、二丁目に行ったんでした。
飲みたかったんです、ただただ気兼ねなく。
二丁目はホントに安心して歩けます。
女ひとりで歩いても食事してても、ちっとも声をかけられません。
飲んでてもそうです。放っといてくれます。
朝方までママと喋ったり、飲んだりして
タクシーで帰ってシャワー浴びて出勤、とか
すさんでましたねー。

給料日前なのに
やっぱり飲みたくなって、ぶらーっとお店に行ったっけ。
「今日は終電までには帰る。お金ない」
って言ったら
「飲みたいんでしょ。好きなだけ居なさいよ」。
その日の明け方、ママはタクシーまで拾ってくれたんでした。
乗り込む私に「ちゃんと帰るのよ。」って万札を握らせて。


明け方の二丁目の匂い。
ちょっと湿ってて、これから眠る街。
とことんやさしいひとの街。
ひとの痛みを、笑わない街。


もう ない、店。









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なす子

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