病院から戻り、昼食を済ませたら もう二時近かった。 せっかくの春休みなのに毎日毎日オヤの通院に付き合わせてばかり。 ごめんなー。
たまには公園行こうか。
と出たものの、私は公園に到着した時点でグロッキー。 子なすの自転車に座り込んで、眺めてるだけが精一杯。 ボール遊びも出来ない母でごめん。
小1時間、砂遊びをしただろうか。 「かえろ 今日、ピザ 来るんでしょ」 子供は自分から言って、立ち上がった。 私の様子を見てとったんだろう。 そして 「おかあさん 後ろ、乗りな」と自転車の荷台を指す。 16インチの補助つきマシン。
わぁ 嬉しー 私は跨がった。そしてアスファルトを蹴ったら 「おかあさんは足、つかわないで。ボク こぐからっっ」
がーら がーら がらがらがらがらーー ふたりを乗せて走りだす16インチ。
速い、速い 思ったよりずっと。家までの約1km、走りきった。 いつもより5〜60cm低い世界は新鮮に流れた。 家の表札を見上げながら、沈丁花を間近に見ながら。 停まっている車は、やけにでっかく見えたし。 子供って こんなに威圧感だらけの中で、 よく生きてるなぁ。
こんなちっこい体で、よく走るなぁ。 こんなちっこい頭で、よく考えるなぁ。 こんなちっこい背中が、とっても頼もしい。
きゃーきゃー 曲がるぅぅぶつかるぅぅ
気分は15才である。 ちょっと気になるオトコノコがバイクの免許を取ったってんで タンデムシートに乗っけてもらった、 そんな気分。 (いや実際そんなさわやーかな経験はないんだが) まぁ 気分は15才である。
あと10年したら どっかのオンナノコに 「乗りな 送ってやるよ」 とか言っちゃうんだろなー ふーんだ
とか思う、母でありました。
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