2004年03月21日(日) |
嗚呼・純情街道一直線! |
なんともアホアホなタイトルですが『イノセンス』を観て参りました。
感想を一言で表すと「濃い」でしょうか(笑) 前作も随分と観る人を選ぶマニアックな作品だな〜と思いましたが、今作に比べるとアレはまだ可愛い方でした。とにかく全編通して濃いったらなんの。 話題作だから一応観ておくか。 なんて甘い考えで観に行くと大変なことになりますよ。ホント。 バトー&トグサをはじめとする登場人物が、これでもかってくらい長い台詞があるのですが、はっきり云って何のこっちゃ? な世界。格言はともかく論語に至ってはね。これでも一応、卒論は中国文学だったんだけどなぁ(苦笑) 昔とった杵柄で、どうにか内容を理解しようと全神経を耳に集中したけどダメですわ。いくら頑張ってもお経にしか聴こえない。もう途中から放棄しましたよ。別に分からなくてもストーリーにさして影響なかったし。
あとで相方と話したのですが、あの台詞は理解しようと小難しく考えるのではなく、己の全身で世界観を感じ取れってことだなと。 だって、物語の底辺というか根幹にあるものは、人間は何故自らの形を人形に模するのか。サイボーグ化した人間と人間の都合によって生み出されたアンドロイドの定義の違いはどこにあるのか。なんて、そんな高尚な問題を理解するほど賢くありませんから(苦笑) あくまでも、この映画はフィーリングで鑑賞するってことで勘弁して下さい。押井監督!
この映画の見所は、やはりバトーの純情っぷりですよ。いや、純情というより「純愛」か。 前作で素子と離れて以来、バトーはずっと心の何処かで彼女の存在を求めてたんじゃないかな。 幾度と無く死線を潜り抜けてきた彼が、初めて得ることの出来た唯一無二の存在。 無条件でお互いの背中を任せられる相手なんて、そう簡単に出会えるもんじゃないですよ。相手が素子だから、バトーだからこそ、あの関係を築くことが出来たわけで。 いくらトグサが頑張っても素子の代わりにはなれませんからね。端からなろうと思ってないだろうけど。 いいのよ。トグサたんは今のままで。少なくとも今回、バトーの愛犬のお世話係りに昇格したんだから(笑)
ここからは、ちょっと真面目に。 最大の見せ場で素子が登場するのですが、その時のバトーの変化がね。もうなんて云うか、表情こそ一片たりとも変わらないのだけど、ギスギスしていた雰囲気がガラリと変わるんですよ。ピーンと張り詰めていたのが、ふっと緩むというか、ゆとりが生じた感じかな。
ああ、やっとめぐり逢えた。
たとえ束の間の逢瀬でも、再び彼女の存在を感じることが出来た無上の歓びっていうのかな。そういうのがひしひしと伝わってきて、ラストで素子の「もう行くわ」っていう台詞を聴いた瞬間、不覚にも涙が込み上げてきた。
私は常にあなたの傍に居る。 あなたは感じるはずよ、私の存在を。
この言葉に、ひとつの愛の形を垣間見た気がした。
個人的には満足のいく映画でございました。 作画は細部に至るまで緻密かつ綺麗でしたし、音楽も効果的だったし、なんたって上映時間が110分! 指輪の半分ってところが素晴らしい。 あと電脳戦もあったしね。電脳戦スキーにとって、あのシーンはたまらんかった。 ますます素子に惚れたよvv
あー、なんか無性にテレビシリーズが観たくなったぞ。 レンタル料半額デーを狙うか(笑)
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